マンションの基礎知識03 /柱と梁の違いを言えますか?
「ちょうど梁型が出っ張ってて、エアコンを取り付けられないんですよ」と言われて伺ってみると、出っ張っているのは梁型ではなく柱型でした。建築や不動産の仕事をしていると、このようなことはしょっちゅうあります。柱や梁はよく使われる言葉ですが、正しい意味を知らない人は多いと思います。そこで今回のマンションの基礎知識03では、これら基本的な意味を解説したいと思います。
柱と梁
柱は建物の荷重を支える部材です。そのため柱は鉛直方向に立っています。梁は柱と柱を水平方向につなぐ部材です。そのためまっすぐ建っているのが柱で、横向きになっているのが梁だと考えれば間違えません。
また梁の中には小梁と呼ばれるものがあります。小梁は梁と梁を水平につなぐ部材です。
壁の種類
壁にもさまざまな名前があるので整理してみましょう。
①戸境壁(こざかいかべ)
マンションの住戸を仕切る壁になります。下の図の赤い部分で、301号室と302号室の間の壁が戸境壁と呼ばれています。ラーメン構造で作られた鉄筋コンクリートのマンションでは、地震に耐える耐力を持つ耐震壁になっています。
②間仕切り壁(まじきりかべ)
戸境壁は301号室と302号室の間の壁でしたが、間仕切り壁は住戸内の廊下と寝室、リビングと洋室を仕切る壁になります。下の図の赤い部分が間仕切り壁になります。戸境壁はコンクリートで造られていることが多いですが、間仕切り壁は木かLGS(軽量鉄骨)の下地に石膏ボードを貼った壁になります。
③小壁(こかべ)
本来、小壁は和室の天井鴨居と長押の間の壁を指します。しかし最近のマンション工事の現場では、小さな壁を便宜的に小壁と呼ぶこともあります。
基礎と杭
基礎と杭という言葉がややこしくなるのは、杭基礎という言葉の他に単に基礎と呼ぶこともあるからです。
①杭(くい)
建物を支えるために、地中に打ち込まれた棒状のものです。かつては木製でしたが、現在のマンションで使われるのはコンクリート製の杭です。稀に鋼製の杭もありますが、マンションの場合はほとんどがコンクリート杭と思って間違いありません。それはともかく、杭はこの棒状の部分だけの名称です。
杭には2種類あり、硬い岩盤に杭を打ち込む支持杭と地盤との摩擦で支える摩擦杭があります。2015年に三井住友建設が施工した「パークシティLaLa横浜」が、杭が支持層に届いておらず傾いていると話題になりました。こちらのマンションでは支持杭が使われていたので、支持層に杭が届いていないことが問題視されたのです。
②杭基礎(くいきそ)
杭を使った基礎を杭基礎と呼びます。杭はフーチングと呼ばれるコンクリートの塊に繋がっており、フーチングは基礎梁と連結しています。杭は硬い地盤に刺さっていて、建物を支えています。
③直接基礎(ちょくせつきそ)
杭を打たない基礎を直接基礎と呼びます。固い地盤にマンションが建設される場合は、杭が使われずに基礎梁だけが土に埋まっています。直接基礎を使っているということは、その土地の地盤が強固だということがわかります。
まとめ
基本的にな言葉をいくつか選んで解説してみました。これ以外にも、わかっているようで多くの方が知らない言葉がたくさんあるので、追々解説していきたいと思います。