マンションの鍵はどれが安全なのか /マンションのセキュリティ

マンションの鍵を交換することになり、どのような鍵が良いのか相談を受けました。現在、マンションに使われる鍵は沢山ありますので、どれにするのが良いか調べれば調べるほど悩むかもしれません。そして世の中には、防犯性がほとんどない鍵がマンションに使われているケースもあります。今回は鍵の種類と、どのような鍵にすれば良いのかを考えてみたいと思います。

完璧な鍵はない

どんな鍵でもいつかは破られると思った方が良いでしょう。ピッキングに強い鍵として売られているものは多くありますが、ピッキング以外の方法で破ることが可能なものもあります。鍵に限らずどんなセキュリティも同様で、泥棒も新たな侵入方法を試行錯誤していますので、いつかは破られると思われます。以前はディンプルキーが万全だと言われていましたが、バンピングなどディンプルキーを開ける方法も出てきています。どんなに安全な鍵が出てきても、それを破る方法を考える人が出てきます。完璧な鍵などないため、ある程度の期間を過ぎたら新しいものに変えていくしかないのです。

すぐに変えた方が良い鍵

美和ロックが販売していたディスクシリンダー錠、ピンシリンダー錠は、かつてはマンションの鍵の主流でした。これらの鍵は、今やピッキングで簡単に開けることができます。現在では防犯性が著しく低いため、多くのマンションで使われていません。もし自分が住んでいるマンションで、まだこれらの鍵が使われているようなら、理事会で話し合ってなるべく早めに交換した方が良いでしょう。すでに美和ロックも販売していませんし、合い鍵もそのうち作らなくなります。以下のリンクに掲載されている鍵を使っている場合は、すぐに交換した方が良いと言えます。

美和ロック 廃止シリンダー

ディスクシリンダー錠に似た鍵に美和ロックのU9があります。こちらは安価ながらピッキング対策を行っている鍵ですので、ディスクシリンダー錠より防犯性がはるかに高くなっています。ただし初期型のものは簡単に壊すことが可能だとわかり、2001年に大幅な改良を行って現在も改良が続いています。お使いの鍵がU9であっても、旧型ならばすぐに交換するべきです。

※美和ロック U9

電気錠なら安全か?

電気式の鍵は、家の中の電気を使うのか乾電池で動くのかで、使い方が変わってきます。家の中の電気を使う場合、停電になったら鍵が開かなくなります。この場合、普通の鍵のシリンダーも併用し、停電時でも鍵穴に鍵を刺して開けられるようなシステムでないと緊急時に不便です。そして普通の鍵も必ず持ち歩くようにしましょう。電気錠のカードと鍵が一体になっているものもあるので、そういったタイプだと鍵の持ち歩きを忘れることはないと思います。

しかしそもそも電気錠のメリットは、鍵穴をなくすことで防犯性を高められることです。電気錠にして鍵穴を作ることは、防犯性が犠牲になってしまいます。これらのことから、私は電気錠は防犯性を高めるというより、利便性を高めるものだと考えています。こういったことからマンション全体で鍵を交換する際などに、電気錠を検討する時は何のために電気錠を採用するのか目的をはっきりさせましょう。

海外製の強固な鍵はどうか?

有名な海外の鍵として、カバとマルティロックがあります。カバは19世紀にスイスで創業した鍵メーカーで、金庫で定評を得た会社です。マルティロックはイスラエルのテロ対策のために作られた鍵として評価が高い鍵ですが、正確にはスウェーデンのアッサ・アブロイ社がイスラエルで販売している鍵です。これらの鍵は強固で安全性の高いのですが、合鍵を作りたい場合など近くに作れる店があるかを事前に確認しておくことが必要です。これらは取扱店が少ないため、場所によってはとんでもなく遠いところまで鍵を作りにいかなくてはならない場合があります。町の鍵屋さんではコピーできないのはもちろん取扱店でも時間がかかるので、事前に予備を作っておく方が良いでしょう。

※カバ錠

どれが最も安全な鍵なのか

鍵だけを強固にしても、泥棒の侵入は防げません。最近多いのは打ち破り・こじ破りと言われる方法で、バールでドアを壊して侵入する方法です。これにはカマ錠と呼ばれるデッドボルトに鎌のような形の跳ねだし部分があるもので、これだとバールでは容易に侵入できなくなります。またバールを差し込む隙間をふさぐためのカバーも有効です。

※カマ錠

鍵だけで安全は実現できません。重要なのは、泥棒が浸入するのにどれほど時間がかかるかです。あまりに手間がかかるなら諦めてしまうので、防犯認定(開けるのに10分以上かかるという基準)を受けている鍵ならある程度安心だと思います。そして鍵だけでなく、ドアの破壊や窓からの侵入も対策を考える必要があります。

また最近はSNSなどに鍵の写真をアップしている人がいますが、鍵についているキーナンバーで合鍵を造れるものもあります。普段からキーホルダーに入れたりキーカバーをつけるなどして番号が見えないようにし、ネットへのアップなどは絶対にしないようにしてください。

泥棒対策に有効なのは

古くから言われていることですが、隣のお宅と顔なじみになるのが最もセキュリティを高めます。知らない人が玄関前にいると、声を掛けるような環境が防犯性を高めるのです。マンション内で会った人に声を掛けることが定着するだけでも、泥棒には大きなプレッシャーになります。戸建エリアでは、ゴミの収集日やゴミの出し方を守らない地域が狙われやすいそうで、ゴミ出しを気にしない人が多いエリアは近隣住民との結びつきが弱いので、泥棒がうろうろしていても怪しまれることが少ないそうです。ピッキングがすぐにできてしまうような鍵は、すぐに交換した方が良いのですが、鍵だけでセキュリティ性を高めるのは難しいのが現状です。安全性をどのように高めたらよいのか、ご相談も承ります。

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