マンション買ってあげる /税金で損をする人達のお話し
今回はマンションの税金にまつわるお話しです。このブログもメールを頂くことが増えて、本当にありがたく思っております。仕事の都合にで返事が遅くなってしまうこともあり、申し訳ありません。そして頂いたメールの中には、これは本当か?と思えるものもあるのですが、今回はご本人に許可を頂いた相談メールを元に税金の話をしたいと思います。
ケース1:パパがマンションを買ってくれる
こちらのメールは女性からのもので、男性からマンションを買ってあげると言われたというものです。男性を「パパ」と呼んでいたので「パパ活ですか?」と質問したのですが、相談者はキャバ嬢だそうです。マンションを買ってあげると言われたことを兄に相談したら、兄がネットでいろいろと調べて私のブログやその他のサイトに相談をしたみたいです。相談内容をまとめると、以下のような感じです。
①お客さんの男性からマンションを買ってあげると言われた
②マンション価格は2000万円から2500万円ぐらいらしい
③断りたいが太客なので無下に断りたくない
④職場の人から買ってもらうと税金などがかかると言われた
これらを前提に、質問は以下の通りになります。
⑤マンションをもらうと税金を支払う必要があるのか?
⑥税金を払う場合、いくらになるのか?
⑦このようなケースで断った人の例があれば知りたい
この話は本当のことなのか?ふざけているのではないか?などと当初は思いましたが、ボカして書いている部分はあるものの冗談で出したメールではないとの返事を頂きましたので、真面目に答えることにしました。
贈与税と所得税
この場合、他人からマンションを受け取るので贈与税が発生します。贈与税は個人から財産をもらった時にかかる税金になります。もし今回のパパが会社の社長で、会社名義でマンションをプレゼントしたら贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。もし会社名義で行えば社長の横領になってしまうのですが、そういう事件もたまに起こっていますね。今回は男性個人がマンションをプレゼントした場合の、贈与税で考えて見ましょう。
国税庁:贈与税の計算と税率
贈与税の計算
贈与税は金額ごとに税率が異なりますが、その税率も2種類あります。「一般税率」と「特別税率」です。それぞれの違いを簡単に説明します。
・特別税率
直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の直系卑属(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。
・一般税率
特別税率に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
今回のケースはお客の男性(他人)からの贈与なので、一般税率を使用して計算することになります。仮にマンションの価格を2000万円として、計算して行きましょう。まず贈与税には110万円の特別控除があるので、それを差引きます。
2000万円−110万円=1890万円
そして以下の表に照らし合わせて、税率と控除額を見ます。
基礎控除後の課税価格が1890万円ですから、3000万円以下の税率と控除額が適用されますね。そこで以下のような計算になります。
1890万円×50%(税率)−250万円(控除額)=695万円
2000万円のマンションをもらうと、695万円の贈与税を支払わなくてはなりません。贈与税を支払うのは財産を受け取った側ですので、もらってしまったらこれだけの費用を捻出しなくてはならないのです。これに対して申告しなければバレないか?とも質問されましたが、税務署は大きなお金が動く不動産売買は常にチェックしているので、バレない可能性は限りなく低いです。そんなお金は用意できないので、マンションはもらえないと言って断るようにお伝えしました。
ケース2:宝くじが当たったから恩返しがしたい
こちらは親族が宝くじに当たったという方からの相談です。相談者の甥はいろいろと訳ありだそうで、両親だけでは面倒を見切れなくなったことがあり、叔父である相談者は大学の学費の一部を出したことがあるそうです。その甥が、突如連絡してきて学費分を支払いたいと言ってきたそうです。宝くじが当たったそうで、親にもマンションをプレゼントすると言っているとのことでした。自分の件はともかく、マンションをプレゼントすると何かと面倒になるのではないかと思ったようです。質問内容は以下の通りです。
①親がマンションをもらった場合、贈与税がかかるのではないか
②贈与税以外にも費用がかかるのではないか
③相続などで面倒な問題が発生しないか
マンションの維持費用が問題に
両親名義(またはどちらか)でマンションを購入することを仮定して、書いてみたいと思います。贈与税がかかるのは、先の例と同様です。また両親がマンションを所有することになるので、管理費や修繕積立金を払わなくてはならなくなります。さらに現在戸建で駐車場付きなら、マンションでは駐車場代が別途必要になります。固定資産税もかかるので、マンションをもらっただけでもそれなりに維持費が必要になっていきます。
相続税の問題
親にマンションをプレゼントし、親が亡くなったら子供が相続することになります。つまりマンションを親にプレゼントする際に贈与税がかかり、相続する際に相続税がかかります。2度も税金を支払うことになってしまうのを良しとする考え方も間違っていませんが、勿体ないと思うのであれば自分名義で購入して親に住まわせる方が良いでしょう。そうすれば贈与税がかかることもありませんし、親が亡くなった際にも相続税がかかることもありません。
しかし自分名義のマンションを親に無償で住まわせるとなると、これは贈与と同等の行為になります。そこで親からは家賃をもらうようにしましょう。金額は相場より安くても問題ないですが、それでも10円/月みたいな非常識な金額だと、税務署から贈与だと判断されるかもしれません。税金は賢く抑えることはできますが、支払うことは義務なので、逃れることはできないという前提を忘れてしまうと、脱税になりかねないので注意が必要です。
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まとめ
マンションをプレゼントすると、受け取った人が贈与税を払う必要があります。生前贈与などでよく問題になるのですが、贈与税率は高いので、タダでプレゼントすると思いがけない出費を相手に強いることになります。なぜか家族間だと問題ないと思う人が多いのですが、税務署は厳しい目でチェックしているので、なんの前触れもなく納税の通知がやってきて慌てることになってしまいます。タダより高いものはないという、昔から言われている言葉が贈与税にはそのまま当てはまると思います。
はじめまして。
半年ほど前からときどき拝読しています。丁寧な解説で、難しい話でも素人にも分かりやすいですね。
この記事についてコメントさせていただきます。
贈与税を次のように計算されていますが、
1890万円−250万円(控除額)×50%(税率)=820万円
控除の250万円は、税率を掛けた後に控除、ではないでしょうか?つまり、
1890万円(控除額)×50%(税率)−250万円=695万円
だと思います。
それと、ケース2の、子供が親にマンションをあげる例、
「両親なので一般税率ではなく特別税率が適用される」ですが、
特別税率は直系尊属から直系卑属への贈与の場合に適用されるので、
その逆、直系卑属から直系尊属への贈与では一般税率になると思います。
この記事の本筋とは関係ないんですけど、ちょっと気になってしまって。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。そして、コメントありがとうございました。
最初の件ですが、基礎控除を引いた後で税率を掛けるのではないでしょうか。国税庁のこちらのサイトにも、そのように書かれています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
2つ目の件は、私の間違いですね。本文を訂正しております。
ご指摘いただき、ありがとうございました。引き続き、本ブログをよろしくお願いします。
gonです。コメントありがとうございました。
お示しいただいた国税庁のサイト確認しました。
同じページに計算方法が書いてあり、
(1)「一般贈与財産用」に500万の贈与の計算例が記載されています。
┌
基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
└
贈与額から非課税分110万を引き、
390万(400万以下)に対する税率20%を掛けて25万を引いています。
(マンションに関するサイトで恐縮ですが)
ご確認いただけますと幸いです。
コメント、ありがとうございます。
私が基礎控除を勘違いしていたみたいです。
ご指摘、ありがとうございました。
訂正しておきます。