雨漏り事例 /5年間で7回漏水したマンション
神奈川県某市のマンションの理事会から声をかけて頂きました。最上階の2室が雨漏りを繰り返していて、この5年間で7回も雨漏りがあったそうです。管理会社を通じて建設会社がその度に修繕をしているのですが、一向に改善しないので意見を求められました。写真の使用や物件がわかるような記載は許可を頂けなかったので、物件が特定できるような内容は伏せて書きます。
漏水事故の概要
売主は大手 デベロッパー で、神奈川県の業者が施工していました。管理会社は売主のグループ会社で、漏水が止まらないため管理会社も困り果てていました。漏水は最上階の部屋2部屋で起こっており、屋上の アスファルト防水 には大きな亀裂が入っていました。そのため、亀裂の補修を中心に修繕工事が行われています。
1回目の修繕工事
パラペットのアゴの下に防水層の隙間があり、そこから漏水したと施工会社は考えました。そこでガムシールと呼ばれる防水材を充填する工事を行っています。しかし数ヶ月後に再び漏水が起こりました。
2回目の修繕工事
アスファルト防水面に亀裂が見つかり、亀裂部分にガムシールを使って修繕工事を行いました。亀裂はふさいだにも関わらず、すぐに漏水事故が起こりました。
3回目の修繕工事
亀裂を再度見直し、細かな亀裂部分も含めて十数カ所の亀裂をふさぐ工事を行いました。しかし数ヶ月後に再び漏水が起こっています。
4回目の修繕工事
さらに調査をしたところ、他にもアスファルト防水面に亀裂が見つかりました。そこで広範囲にアスファルト防水を剥がし、新たな防水層を取り付け直す修繕工事を行いました。しかし数ヶ月後に再び漏水が起こりました。次の修繕を行う前に、別の部屋でも漏水が発生して被害が拡大しました。
5回目の修繕工事
前回より範囲を広げてアスファルト防水を剥がしました。コンクリートの亀裂も見つかり、これも補修しています。新たな防水層をとりつける修繕工事を行いました。しかし再び漏水事故が起こっています。
調査を開始する
午前中は設計図書と過去の修繕記録を読み込みで終わりました。午後から屋上を見に行くと施工会社のアフターサービス部の担当者が来ていたので、一緒に調査することになりました。私は図面とこれまでの対応から、排水ドレンに原因があるのではないかと考えていました。施工会社の方も同じ考えで、排水ドレンの中を懐中電灯で見てみるとすぐに不具合が見つかりました。ドレンと塩ビ管をつなぐ部分の防水に亀裂が入って入て、ここを水が流れる度に防水層の下に水が浸入していたようです。
何が悪かったのか
管理会社と施工会社は何度も調査に来ていますが、防水層の表面に大きな亀裂があったため、そこが漏水原因だと決めつけて対応してしまいました。さらに管理組合に対して、防水層の亀裂が原因なので亀裂を補修すればすぐに雨漏れが止まると安易な約束をしてしまっていました。以前にも書きましたが、雨漏れの調査で原因が特定できることは滅多にありません。原因の可能性を指摘できるだけで、ここを修理すれが雨漏れが止まるなどど約束できるものではないのです。
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原因を決めつけてしまい、それ以外の可能性を考えなかったことに加え、管理組合に安易な約束をしてしまったので、入居者がイライラを募らせることになってしまったのです。最初から原因を決めつけたことで調査が偏ってしまっていましたが、行った補修などでは間違った作業をした形跡もなく、真面目に頑張っていたという印象を受けました。
まとめ
ゼネコン の方は漏水を止めるべく頑張っていたと思いますが、経験が不足していたため原因を決めつけるミスを犯していました。さらにすぐに漏水が止まるような説明をしていたのもミスでした。こういう例は真面目にやっていただけに、つくづく残念です。このようになかなか漏水が止まらない場合など、ご相談いただければ調査にお伺いすることも可能です。