長すぎる理事会の相談 /長引かせたい人がいるケース
メールでやって来るご相談の中には、さまざまなものがあります。今回頂いた相談メールは、理事会の時間が長過ぎて困っているというものでした。相談者の方は理事で、長時間にわたる理事会にほとほと嫌気がさしてしまったようです。しかしこの理事の方は、理事会が長時間になっている原因もわかっているそうですが、対策を立てられずに困っているのです。今回は、長すぎる理事会の相談についてです。
理事会の頻度と時間
理事会は月に1回が原則だそうですが、たびたび緊急理事会として招集があるそうです。主に苦情などが理事会のポストに投函された時に招集されるのですが、それが多い時は月に2回ぐらいあるそうです。合計で月に3回の理事会が行われる月があるわけです。
理事会は土曜日の18時からで、緊急理事会は大抵の場合、21時までかかるそうです。およそ3時間もの会議になります。そして通常の理事会は、土曜日の18時から24時までかかることも珍しくないそうです。これほど長時間の理事会を繰り返すため、理事の中には欠席を繰り返す人もいるようで、その度に理事長が部屋まで迎えに行っているようです。
長時間になる原因
相談者の方によると、これほど長時間になる原因は理事長にあるそうです。無駄話をするわけではないのですが、決まりかけたことに何度も意見を出してはひっくり返し、結論がなかなか出ないようにしているようです。そのため理事長が口を開くたびにウンザリする人も多く、過去にはそのことで口論になったこともあったそうです。
しかし理事長はマンション全体のことだから、安易に結論を出さずに議論を深めるべきだと主張して、生産性のない議論をあーだこーだと続けているのだそうです。相談者の方も、せっかくの休みの多くが理事会で潰れてしまうことにウンザリしているのですが、理事長の何か一つを決めるには徹底的な議論が必要という理事長の正論に押されて、どうしたものかと悩んでいるそうです。
相談者の妻の証言
相談者の方は、あまりに長時間になる理事会について奥様に愚痴をこぼしたところ「あのご主人だと、仕方ないかも」と、驚くことを言ったそうです。なんと理事長の奥さんとは入居時に知り合ってから、買い物に行ったり食事をすることもたまにある仲なのだそうです。そして何年にも渡り、ご主人の愚痴を聞かされてきました。
「同期の人は最低でも課長になっているのに、ウチの人は未だに係長」「新規のプロジェクトに選ばれたこともないし、敗戦処理みたいなことばっかりやらされてる」「この前の出張なんて、年下の上司の鞄持ち」などと愚痴をこぼしていたそうです。社内結婚なのですが「若い頃はいつも大きな声で仕切ってて、いかにも出世しそうに見えたのに」と、恨み節のようなことまで聞かされていたそうです。理事長の奥様はストレスが溜まると電話かけてきて、食事などに誘うのだそうです。
理事長が理事会を長引かせる原因
相談者の方が他の理事にこの事を話すと、何人かはその事を知っていたそうです。理事長は家庭に居場所がないので、なるべく理事会に時間を使って家に戻らなくて済むようにしているというのが、理事の間の共通認識になっていきます。休みの日に、カリカリしている奥さんと家にいるのが耐えられないのでしょう。
また会社でも居場所がなさそうですし、部下もいないようです。しかし理事会の中では理事長というポジションがあり、管理会社は指示を出せば素直に動いてくれます。会社よりも家庭よりも、理事会の居心地が良いのでしょう。しかし理事長に「居心地が良いからって、理事会を長引かせては困る」とも言えないし、言ったとしても頑固な人だから揉めるだけだろうと相談者の方は悩んでいました。
理事会を短時間で終わらせるには
会社の会議でもそうですが、会議が始まってから考えるのでは時間がいくらあっても足りません。議事の内容事前に配布して、会議が始まったらすぐに意見が出るようにしておく必要があります。会議が始まってから議題の説明を始めると、どうしても時間がかかってしまいます。
それぞれの議事について、いつまでに決めるのかを明確にしておく必要があります。ダラダラと議論して決まらず、また次回にと先送りしてしまうことを繰り返すと、時間ばかりがかかって何も決まりません。今日中に決めるのか、次回までに決めるのかなど議長が仕切っていく必要があります。
また時間を決めておくことも重要です。何時に終わるかを決めるだけでなく、それぞれの議題を何分で終わらせるかも決めておかなければなりません。そのため議長は誰かが自分語りを始めようものなら「時間が迫っているので手短にお願いします」などと、発言をまとめるように促していかなければなりません。
私が以前に勤めていた会社の部長の1人は、会議は30分程度で終わらせるように言っていました。「1時間も会議をするなんて犯罪的だよ。ここにいる十数人が、1時間もの間に全くお金を産まないんだから、会社が倒産するよ」と何度も言われました。また会議は長ければ長いほど、結論が出にくくなり時間を浪費するだけだとも言っていました。
長時間の理事会の弊害
多くの場合、理事会は土曜日か日曜日に開催されます。理事によっては週に2日の休みがある人もいれば、1日しか休みがない人もいるでしょう。週に1度の休みが理事会で潰れてしまうと、体を休めることも家族と時間を過ごすことも、用事を済ませることも難しくなります。また実質的に休みがほとんど取れない、自営業者の方もいるでしょう。そういう方にとって、長時間の理事会は大きな負担になります。そのため欠席者の増加が考えられます。
人間の集中力には限界があり、長時間になればなるほどストレスを感じます。多数決で何かを決める場合など、会議を早く終わらせたくて、深く考えずに多数派になびく人もいるでしょう。議論も浅くなりますし、欠席者が増え、理事になりたいという人も減少します。良いことは何一つないと言えます。
今回の相談に決定打がない
上記のように時間を決めたり事前に話し合う内容を知っていても、今回の相談が本当に理事長が意図的に理事会を引き伸ばしているなら、全く無駄に終わるでしょう。そもそも理事会の議長は理事長ですし、議長がズルズル引き伸ばすならどうしようもありません。好きなだけ時間をかけることができてしまうのです。
理事の欠席が多いことを問題視して理事会の議題に上げ、理事会が長時間に渡っていることを課題にあげていくなどの方法が考えられますが、とにかく時間を引き伸ばしたいと思われたら打つ手がほとんどないように思います。いっそ理事の方が持ち回りで、居場所のない理事長を自宅に招いた方が良いかもしれません。
まとめ
ここまで酷い例ではなく、理事会に時間がかかると感じている理事の方は、時間を短くすることを真剣に考えた方が良いと思います。時間が長ければ長いほど、真剣に考える人が減っていきますし、出席率も悪くなってしまいます。欠席者が増えて理事会が成立しなければ、理事会が意味を為さなくなります。こういったデメリットを共有して、短時間で効率的な理事会を行うことを心がけていきましょう。