盛土で作られた土地のマンションは危険なのか /盛土と切土の違いも説明
熱海市で発生した土砂災害で、盛土(もりど)が問題になっています。そもそも盛土とはなんなのでしょうか、そして盛土で作られた土地のマンションは危険なのでしょうか。今回は盛土と合わせて言われることがある切土(きりど)についても説明したいと思います。
土地の開発行為
盛土の話をするには、先に開発行為の話をしなくてはなりません。土地を業者任せにしていると営利優先で山が切り崩されたりするなど、国土がめちゃくちゃになってしまうかもしれません。過去には乱開発が問題になったことがあり、法律による規制が必要になりました。そこで都市計画法では、一定の宅地開発には知事や市長の許可を求めるように定めています。この許可が必要な土地の造成などを開発行為を呼んでいます。
法的には「主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」と定められています。土地の区画形質の変更とは宅地造成や道路を作ることに伴う土地区画の変更、農地を宅地に変更することなどを指しています。マンションを建てる際にも、土地の形状がマンション建設に相応しくない場合は開発行為を行っています。
盛土と切土
この開発行為を行う際に、盛土や切土が行われます。土地が斜めになっていて建物を建設するのに向いてない場合、土地を平らにするために行うのが盛土や切土です。盛土は土地の低い部分に土を盛って平らにすることです。切土は土地の高い部分を削って平らにすることを言います。以下は土地の断面図です。土地を平らにするために、土地を削ったり盛ったりするわけです。
盛土には上図のように斜面に新しい土を盛る腹付型と、土地の窪んでいる部分や谷になっている部分を埋める谷埋め型があります。マンションの盛土は腹付型が多く見られます。
盛土は危険か
一般的に盛土は危険だと言われることが多くあります。何万年かけて作られた地層と、数ヶ月で埋められた地層では地面の締まり具合が違うので、地盤が緩いと言われています。しかし一概に危険かというと、そうとも言えません。地盤を引き締めるための補強材の開発が進んでいますし、施工方法も進化しています。また1961年に施行された宅地造成規制法以降と以前では、かなり違うとも言われています。そのため自分が住んでいるマンションが盛土の上に建っているからといって、すぐに危険だというわけではないのです。
ただ地震の際に滑落崩壊と呼ばれる地滑りが、何度も起こっているのも事実です。阪神淡路大震災でも大規模な滑落崩壊が起こり、多くの人が亡くなりました。大地震による地滑りと共に住宅が流されていき、土砂に飲まれています。マンションの場合は杭が硬い地盤に刺さっているので、盛土が流れただけではマンションが土砂と一緒に流れることはありません。
大規模盛土造成地マップ
地震による滑落崩壊が相次いだことにより、都道府県や市町村は造成前後の航空写真や地図を用いて大規模盛土の有無などを調べています。これを元に作成されたのが、大規模盛土造成地マップです。ただ国土交通省も書いているように、全ての盛土を網羅できているものではないので、ここに載っていないから盛土ではないとは言い切れません。
東京の大規模盛土造成地マップは、以下のサイトから見ることができます。その他にも各都道府県で、それぞれ公開されています。
ハザードマップで自宅を確認
熱海市の土砂災害は盛土ばかりが注目されていますが、自然災害は土砂災害だけではありません。地域のハザードマップを見て自宅を確認し、災害に備えておくことが重要です。またハザードマップはさまざまな災害を分けて記載しているので、見にくいと感じている方も多いと思います。そんな時に便利なのが、重ねるハザードマップです。
洪水、土砂災害、高潮、津波、道路防災情報、地形分類のレイヤーがあり、それらを合わせて見ることができます。自宅の住所を打ち込んで、それらのレイヤーボタンをクリックするだけなので、誰でも簡単に自宅付近の状況を把握できます。
まとめ
盛土や切土は土地を平らにするための開発行為で行われ、土地の下がった部分に土を足すのを盛土と呼びます。反対に土を削って平らにすることは切土と呼ばれます。盛土は新たな土を足して平らにした土地なので、切土に比べて崩れやすいと言われています。しかし規模や施工方法、施工した時期にもよるので一概に危険だとは言えません。ご自宅が盛土になっているかを調べるのは、各都道府県で出している大規模盛土造成地マップが参考になるでしょう。災害対策を考えている管理組合では、ここに紹介したサイトも参考にしてください。