シーリングは防水ではないと思う3つの理由

雨漏れが起こったマンションに伺うと、シーリングが切れて雨水が侵入していることがよくあります。また雨漏れの対策工事を行い、それでも漏れたというケースで伺うと、やはりシーリングから漏れていることがあります。シーリングは便利な材料なので多様されがちですが、私はシーリングは防水ではないと考えています。今回はその理由を書いてみました。

シーリングとは

シーリングは合成樹脂や合成ゴムがノリ状になった充填剤で、乾くと固まるので目地や隙間を塞ぐのに使われます。シーリングと言っても材料は複数あり、それぞれ特性が違うため用途や場所によって使い分ける必要があります。シーリングは英語のsealingで「蓋をする」「封印する」の意味です。建設現場では隙間を埋める際に使われるので、シーリングと呼ばれています。

※シーリング材を充填した目地

コーキングという言葉もありますが、建設現場では同じ意味です。JIS規格(日本産業規格)では、JIS A 5758で「建築用シーリング材」として定められています。以前はコーキングもJIS規格にありましたが、現在は廃止されています。どちらも同じ意味で使われているので、特に使い分ける必要はありません。

シーリング材の種類

・シリコン

もっとも一般的なシーリング材で、ホームセンターなどでも購入可能です。耐水性、耐候性に優れ、安価なのも魅力です。しかしシリコンは塗料で色をづけることができないので、仕上がりがシリコンの色のままになってしまいます。また油分が出るため、シリコンを打った目地が汚染されてしまい、古くなって剥がした後に違うメーカーのシリコンを打つと硬化しないトラブルもありました。

※セメダイン社の1液性シリコン

シリコン系シーリング材は、ガラス廻りやキッチン、洗面台などの水回りに使われています。追随性がなく着色もできないため、外壁には使えません。

・変性シリコン

耐水性が高く色を塗ることができるので、仕上がりをドアなどの色に合わせることが可能です。目地の汚染もシリコンより少ないので、多くの場所に使われています。しかしシリコンに比べて価格は高めで、耐候性や耐久性がシリコンよりやや劣ります。

※サンスター社の2液性変成シリコン

外壁の目地やサッシ廻りなど、マンションで最も多くの部位で使われているのが変成シリコンです。

・ウレタン

耐久性の高く硬化した後の弾力性が高いのが特徴です。弾力性が高いということは、ある程度の稼働に耐えて追随できるということなので、動きがある部分に使われています。また塗装も可能で、扱いやすいのも特徴です。しかし耐候性が低く、表面に埃がつきやすいというデメリットがあります。

※セメダイン社のウレタンシール

・ポリサルファイド

表面に埃がつきにくく、耐久性が高いのが特徴です。そのまま色をづけることはできず、プライマー処理が必要になります。硬化した後の弾性が少ないので、動きのある部分には向きません。臭いがきついこともあって、最近は他の材料で代用することが増えているようです。

多用されるシーリング

シーリングはノリ状なので、どこにでも使うことができ、工事も簡単なので多用されがちです。しかしどの場所にどの種類のシーリング材を使うかによって、効果も持続性も違ってきます。材料の選定には十分な配慮が必要になります。以前お伺いしたマンションでは、エントランス入口にある金属パネルの隙間にシリコンを使っていました。その結果、シリコンから油が垂れて、パネルが汚く汚れていました。

建設業者がこんなことをしたのかと驚いて質問したら、なんと理事の方がホームセンターで買ってきて行ったそうです。シリコンなら業者でなくとも扱うことが可能ですが、このように材料の選定を間違えると新たなトラブルの元になってしまいます。

※コーキングガンにセットしたシーリング材

シーリングは防水ではないと思う理由

シーリングは防水工事であり、防水工事のバイブルとも言える日本建築学会のJASS8にもシーリング工事は防水工事として記載されています。しかしマンション(というか鉄筋コンクリート造)では、シーリングに頼る防水工事をしないようにするべきだと考えています。その理由を3つ挙げます。

※日本建築学会のJASS8

①耐用年数の問題

一般的にシーリングの耐用年数は外部に使用した場合、5年から10年と言われています。これは環境によって変わり、常に紫外線を浴び続ける場所、常に水が溜まる場所などでは5年にも満たない場合があります。シーリングの打ち替えを5年ごとに計画しているマンションもありますが、それほど細かく打ち替えを行うのは稀でしょう。環境によって寿命が大きく左右されるのが、シーリングの弱点と言えます。

②安易に使われやすい

シーリングは便利なので、安易にあちこちで使われがちです。水は隙間から入ってくるので、その隙間さえ埋めてしまえば漏水は起こりません。そのため漏水が起こると、あちこちの隙間をシーリングで埋めていく業者がよくいます。しかしそれは付け焼き刃にすぎない場合がほとんどです。

漏水を止めるには漏水箇所を特定して、防水材で防水処理を施すのが基本です。また水が流れにくいように勾配をつけたり、金物で覆ったり、などして防水面の端部など水が入り込みやすい場所に水が行きにくくするようにします。その1つがシーリングによって水の浸入を防ぐ方法になります。シーリングは防水層を守るためのもので、シーリングが切れたら漏水するような工事の仕方は一時しのぎに過ぎないのです。

③材料の選定間違いが多い

シーリングの専門業者が間違えることはありませんが、シーリングは簡単に扱えるため多くの業者に重宝されています。そのため正しい材料選定がなされていないケースを多く見かけます。最近はなんでもかんでも変成シリコンが多用されることがあります。

上記のようにシーリングはいくつも種類があり、どの部位にどのシーリング材を使うかはJASS8に細かく記載されています。しかし防水業者でもなければJASS8を読むことはないため、「経験上」という理由でなんとなく変成シリコンが使われます。私が見てきた物件では、本来はアスファルト系のガムシールを使うべき場所で変成シリコンが使われていたケースがいくつもありました。

シーリングに頼らない防水が理想的

雨漏れは大きな被害を生むことがあるので、シーリングに頼らない防水工事が理想だと考えます。防水工事には防水材を使い、シーリングは補助的なものとして考える方が、防水面が長持ちするのです。まず防水材を使ってしっかり防水し、防水面に隙間から水が入って絶えず濡れる状態だと防水材が劣化するので、水が入らないようにシーリングで塞ぎます。防水は防水材で行い、防水材の保護をシーリングで行うようにしましょう。シーリングが切れたら雨漏れが起こるような施工は、防水工事としてはあまりに脆弱です。私が多くのマンションを見てきた中で、シーリングに頼る施工では後から必ずと言って良いほど雨漏りなどの問題が起こっていました。

まとめ

シーリングは便利ですし効果的な材料です。しかしなんでもかんでもシーリングで済ませる業者が多いことに疑問を感じています。特に雨漏りが起こった現場で、シーリングが切れていたから打ち直せば大丈夫というのは、あまりに安易な補習方法です。防水は防水材でしっかり行いましょう。それが長持ちし、雨漏れを減らすことにつながります。防水は防水材で行うことを基本に考えていただければと思います。

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