マンションとアパートの違い /チコちゃんに反論してみた

NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」で、アパートとマンションの違いを解説していたのですが、なんというかちょっと違和感が残りました。そこで反論するというと大袈裟ですが、ちょっと違うんじゃないかと思うところを書いてみたいと思います。マンションとアパートの違いについては、以前にも書いたことがあるのでそちらもどうぞ。

関連記事
マンションとアパートは何が違うのか

チコちゃんが説明した内容

「借りるのがアパート、買うのがマンション」

関東大震災によって多くの住宅がなくなり、住宅不足に陥る。これを解消するために作られたのが同潤会。
第二次世界大戦により、再び多くの人が家を失う。
住宅公団が組織され、全国に団地を建設する。
1953年に1つの建物に部屋をそれぞれ別の人が買う分譲の集合住宅が誕生する(宮益坂アパートメント)。
しかし大家がいない集合分譲住宅ではルールが決まっておらず、私物の自転車を置いて他の住民の通行を妨げたり、立ち話で騒音問題を引き起こしたりといったトラブルが発生する。
1967年に区分所得法が制定され、管理組合を作ることが決まる。
2000年にマンション管理適正化法でトラブルを専門家に相談できる制度が作られる。この時にマンションの定義が決まる。
マンションの定義は「1棟に2人以上の所有者がいる分譲集合住宅」となり、それ以外はすべてアパートと称されるようになった。

同潤会の目的は住宅不足解消か?

日本の集合住宅の歴史を語るうえで、同潤会に触れないわけにはいきません。1924年(大正13年)に内務省の外郭団体として設立された財団法人が同潤会です。関東大震災の義捐金から1000万円を捻出して設立されました。一説によると、当時の1000万円は現在の5億円くらいだと言われています。同潤会設立の目的は色々と言われていますが、主に2つあったようです。

※関東大震災直後の東京の様子

1つ目は、東京・横浜の都心に多数建設された公設バラックに住む人々の住宅を建設することです。この時、帝都復興事業が始まっていましたが、街の真ん中に多数のバラックがあるため復興の妨げになっていたのです。そして2つ目が帝都復興事業に絡んで、火災に強い鉄筋コンクリート住宅の建設です。関東大震災では建物の倒壊とその後の火災で被害が拡大しましたが、火災による死者が全体の9割にも及びました。火災に強い住宅の建設は喫緊の課題だったのです。

こうしてバラック暮らしの人のための木造住宅建設と、次世代の鉄筋コンクリート製アパートの設計が行われました。木造住宅は工手学校(現在の工学院大学)が、鉄筋コンクリートは東京帝国大学(現在の東京大学)が中心となって行われたようです。手早く実務ができるチームと、検証を重ねなければならないチームを効率良く分けた結果だと言われています。

同潤会の設立は、少しでも早くバラック住まいの人を住宅に移し、帝都復興を行うことを目的としていました。そして帝都復興事業は他でも行われていて、同潤会はそれらと連動しながら鉄筋コンクリートの共同住宅を建設することになります。チコちゃんでは住宅不足解消のために同潤会が設立されたと言われていましたが、間違いとは言えないものの本来の目的とは少しズレた表現のように思いました。

関連記事
マンションの歴史 03 /同潤会アパート

マンション管理適正化法でマンションが定義されたのか

正式には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」と言い、2000年12月に公布されました。この中の第1条で、マンションを定義する条文があります。

一 マンション 次に掲げるものをいう。

イ 二以上の区分所有者(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)が存する建物で人の居住の用に供する専有部分(区分所有法第二条第三項に規定する専有部分をいう。以下同じ。)のあるもの並びにその敷地及び附属施設

ロ 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内にあるイに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設

これをもう少しわかりやすく書くと、2人以上の区分所有者(マンションを購入した人)がいて、人の住居するための専有部があるものということになります。ですから1人のオーナーがマンションを建設して最上階を自分の家にし、あとは賃貸にした共同住宅や、事務所がいくつも入るビルはマンションではないということになりました。これをもって、チコちゃんに叱られるでは「借りるのがアパート、買うのがマンション」と説明したわけです。

しかし番組では注意事項として、この法律上でマンションに該当しない建物にマンションと名付けるのは問題ないと言っていました。まさしくこの通りです。木造2階建6住戸の建物を建設し「○○マンション」と名付けても全く問題ないですし、30階建のタワーマンションを「○○アパート」と名付けることも可能です。日本各地に地主や企業が賃貸用に建設した集合住宅が大量にありますが、それらを賃貸マンションと呼んでも問題ありませんし、公文書や契約書にこの法律ではマンションに適合しない建物を「本マンションは・・・」と書いても全く問題がありません。

つまりマンション管理適正化法に定められた「マンション」は、マンション管理適正化法に記されたマンションを意味するだけで、他には全く影響を及ぼさないのです。そのためマンションが法的に定義されたというのは正しいですが、一般的にマンションが定義されたかというと、それは違うと思います。もし法的に全て定義されたのなら、企業や個人が1棟丸ごと所有する賃貸マンションは、賃貸アパートと表記しなくてはならなくなるからです。

まとめ

正直言って、今さらマンションとアパートを定義することはあまり意味がない行為だと思います。マンションという言葉が浸透し、一般的な用語として使われているからです。しかしマンション管理適正化法を「2以上の区分所有者を有する従居用共同住宅の管理の適正化の推進に関する法律」ではわけがわからないので、マンションという言葉を定義したに過ぎません。あくまでも法律を制定するための用語の定義だと思います。あまり気にする必要はないのですが、マンションとアパートの違いはこれだ!と言われると、それもちょっと違う気がして書いてみました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です