マンションの終活を考える /今後やってくる高齢化の果て

マンションの2つの老いとして、建物の老朽化と住民の高齢化が問題視されています。この2つは今後大きな問題になってくると予想されますが、多くのマンションではなんら対策が行われていないのが現状です。そこで今回は、マンションの最期を迎えるための終活について考えていきたいと思います。

マンションの寿命

マンションの寿命は諸説ありますが、早稲田大学の小松幸夫教授の研究によると、50年ちょっとで半数のマンションが消失しています。もちろんこの中には、全く傷んでいないマンションでも再開発の関係などで解体されたものもあるでしょうし、地上げによって小規模マンションだったのが大規模マンションに生まれ変わったものもあるでしょう。ですからマンションの寿命が50年ちょっとだと言い切ることはできませんが、ある程度の目安にはなると思います。

仮にマンションの半数寿命を約50年と考えると、築40年ぐらいになるとマンションの終活を本気で考えないといけないわけです。マンションの就活は建て替えか解体かの2択になるので、どちらにするか話し合いを進め、そのための費用を積み立てないといけません。建て替えにするか解体するかで費用が変わってきますし、手続きも全く変わってしまいます。話し合いを始めてから10年では解決しないケースも多いので、話し合いは早めに始めるべきでしょう。

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入居者の現状

マンションの入居者は高齢化が進んでいます。その実態は、国土交通省の平成30年度のマンション総合調査に如実に現れています。平成30年度のマンション住民の約半数近くが、60歳以上という結果が記されています。サラリーマンなら65歳が定年なので、ほとんどの住民が年金以外の収入がない状態のマンションが今後も出てくるでしょう。

※平成30年度マンション総合調査より

またマンションの完成年次別のグラフを見ると、築40年以上のマンションでは8割近くが60歳以上の住民という衝撃的な数字が出ています。昭和54年(1979年)のマンションは、2022年時点で築43年になります。築43年以上のマンションでは、住民の77.8%が60歳以上なのです。

※平成30年度マンション総合調査より

先にマンションの半数寿命が約50年だと書きました。マンションの終活をしなくてはならないマンションでは、住民の高齢化が急速に進んでいることがわかります。高齢者であってもマンションを今後どうするか話し合いができるケースもあるでしょう。しかし高齢者が多いマンションでは、体調の問題などで話し合いの場に人が集まらないケースが多々あります。話し合いが必要なマンションで、話し合いが始まらないなんてことが増えると思われます。

マンションの高齢化による問題

①理事のなる人がいない

高齢化が進んでいるマンションが、現在抱えている問題が理事のなり手がないという問題です。かつてマンション理事は、定年退職して時間がある人がする仕事と言われていました。しかしマンション内に高齢者が増えると、体調不良や通院を理由に理事を辞退する人が多く、また理事になっても「うっかりしてた」などと言って理事会に参加する人が少ない現状を耳にします。さらに認知症の人が増えることもあり、業務遂行能力がないという問題も出てきます。

これらの問題を解決するため、理事会を外部委託する管理組合も出てきました。外部の専門家が理事会を運営し、決議は総会で行うことで住民の負担を軽減するのです。また民事信託を利用したりする方法も提唱されていますし、実際に活用しているマンションもあります。これらの話は専門的になるので、別の機会に書いてみたいと思います。

②空室率の増加

住民の高齢化により、マンションの空室率が問題になっています。同じく平成30年度のマンション総合調査によると、平成30年度の空室率は37.3%です。空室率は減少傾向にありますが、空室率20%超のマンションに限ると増加傾向にあります。高齢化が進むと空室率はさらに増える可能性が指摘されており、人口減少と高齢化が進んでいる現状を見ると、その指摘に疑問の余地はないように思います。

※平成30年度マンション総合調査より

さらに年次別の空室率を見ると、築40年になると空室率20%超の管理組合が6割を超えています。そして単なる空室ではなく、所有者不明が増えているというのが問題です。所有者がわからないので、管理費や修繕積立金の請求ができなくなっています。管理費や修繕積立金の請求ができなければ、そのダメージは確実に管理組合運営に影響を与えます。今後、空室率が増えることで管理組合の運営ができなくなる可能性が出てきます。

③解体・建て替え費用の積立

マンションが古くなり維持が難しくなると、マンションを解体するか建て替えるかの決断が必要になります。しかしマンションの建て替えは現実的ではなく、建て替えをしたいと考えるマンションは多いですが実現していません。その理由は以下のリンクに書いていますが、主に資金が原因で建て替えられないのです。

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解体するにも費用がかかりますが、修繕積立金が不足するマンションが多い中で解体費用を積み立てているマンションは皆無の状況です。ましてや年金暮らしの高齢者ばかりで管理費や修繕積立金の値上げもままならない状況で、さらに空室率が上がって所有者とも連絡がとれないで管理費などが滞納になっていれば、修繕積立金とは別に解体費を積み立てるのは無理があるでしょう。解体費の目安は1戸あたり100万円と言われていますが、毎月5000円を積み立てても17年近くかかってしまいます。5000円を新たに徴収するのも難しければ、17年も待てないマンションも多いでしょう。

マンション終活の必要性

現在のマンションの多くは、建物が古くなり住民が高齢化して建て替えや解体の費用がないというのが現状です。古くなったマンションは修繕の費用が高くなりがちで、その費用が捻出できなくなれば急速に老朽化が進みます。お金がある人は快適に住めなくなったマンションから脱出し、空室率が上がっていき、やがて廃墟のようになってしまいます。

その例が2020年1月に行政代執行で解体された、滋賀県野洲市のマンションです。雨漏りが止まらず修理する費用もなかったため住民が次々と引越してしまい、2010年頃には誰も住んでいないマンションになってしまいました。誰も住まないため管理もされておらず老朽化が急速に進んでしまい、周囲の住民が倒壊を危惧する状態になってしまいました。所有者に連絡がつかない、連絡がついても既に亡くなっていたりで、最終的には近隣住民の危険性を考慮して行政が解体して解体費用を所有者に請求することになってしまいました。

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マンション管理組合は、マンションを最終的にどうするかを長期的な目で見て検討しておかないと、建物が古くなってしまって入居者が高齢化した段階では手の打ちようがないかもしれません。そうなる前に、自分達のマンションをどうするか考える必要があるのです。

まとめ

マンションは建物の老朽化と住民の高齢化という2つの老いが迫っています。老いが迫っている以上、終活を考えるのは必然でしょう。空室率の問題もあり、今後は多くのマンションで一気に問題が噴出する可能性もあります。高齢化が進むマンションでは、今後の対策が重要になりますので

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