今後、修繕積立金がいくらになるか知る大雑把な計算方法

将来的に修繕積立金が値上げするのではないかと心配される人が増えているようで、自分のマンションが将来いくらまで値上げするのか知りたいという声が多く届いています。正確な金額を知る方法というのは難しいのですが、概算で予測することは可能です。今回は、将来的にどの程度値上がりするかを大雑把に考えていきたいと思います。

修繕積立金とは何か

マンションを購入すると、ローン以外に毎月の支払いが出てきます。それが管理費と修繕積立金で、マンション内の駐車場を使っている方は駐車料金、そして自転車の駐輪料金が必要なマンションもあります。この中で管理費と修繕積立金の違いがわからないという方も多いので簡単に説明すると、管理費はマンション共用部の維持管理に必要なお金で、管理会社への支払いなどのお金になります。

修繕積立金はマンションの修理に使うお金で、主に大規模修繕工事などに使われます。いわば将来的に必要になる修繕工事のための管理組合の貯金で、管理組合の大事な資産になります。現在お住まいのマンションで、自分がいくら払っているのかを知っておくのは重要なのですが、正確な額を知っている方は少数のように思います。私が「修繕積立金は、いくら払っていますか?」と質問しても回答できる人は少ないですし、回答があっても管理費との合計額を答える人が多いからです。

修繕積立金に相場はない

修繕積立金は、将来どのような修繕が必要になるかをまとめた長期修繕計画によって決まります。そのため修繕積立金は、マンションの規模・構造・形状・仕様・設備の種類などによって変わってきます。よく「修繕積立金の相場は○○円」といった記載を見かけますが、修繕積立金に相場と呼ばれるものはないのです。ただし修繕積立金の平均値はあります。

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和3年9月改訂)には、国土交通省が調べた修繕積立金の平均額が記載されています。階数や床面積によって金額は変わり、一覧表にまとめられています。

この金額は平均でしかなく、自分のマンションの修繕積立金の額がこの表より少ないからと言って不足しているというわけではありません。この表では階数と面積だけでまとめられていますが、実際にはエレベーターの台数や外装の種類などによっても変わってくるからです。そのためある程度の目安として考えましょう。そして自分のマンションの修繕積立金と、この平均額の差を知ることで、将来的にどの程度値上げすることになるのか大まかな予想をつけることもできます。

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実際に差額を計算してみる

以下のようなマンションで計算をしてみます。先日、私が相談を受けたマンションで、東京近郊のファミリーマンションです。マンションの概要は以下の通りです。

①マンションの概要

構造・規模:鉄筋コンクリート 14階建
戸数:125戸
延べ床面積:18,675.2㎡
専有面積:9677.73㎡
竣工:2014年
駐車場:3段昇降式(82台)

相談者さんの部屋の概要は、以下の通りになります。

専有面積:72㎡
間取り:3LDK
修繕積立金:11,520円/月

②平米あたりの修繕積立金を計算する

修繕積立金が11,520円/月で専有面積が72㎡なので、1㎡あたりの金額を算出するのは以下の式になります。

11,520円÷72㎡=160円/㎡・月

③ガイドラインの平均値を見る

ここで「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の平均額を見ていきます。マンションは14階建で延べ床面積が18,675.2㎡なので、表の【20階未満】で「10,000 ㎡以上~ 20,000 ㎡未満」に該当します。平均値は271円/㎡・月になります。

さらに機械式駐車場の金額を計算します。3段昇降式で82台の収容です。以下の表の「3段(ピット2段)昇降式 」が該当します。5,840 円/台・月になります。

計算式は以下の通りです。

= 機械式駐車場の1台あたり月額の修繕工事費(下表)×台数 ÷マンションの総専有床面積(㎡)

=5,840 円/台・月×82台÷9677.73㎡≒46円/㎡・月

これに先に計算した271円/㎡・月を足します。

271円/㎡・月+46円/㎡・月=317円/㎡・月

④比較する

マンションの実際の修繕積立金は、160円/㎡・月です。そして「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」から算出した平均値は317円/㎡・月です。その差は157円/㎡・月になります。現在、相談者は先に書いたように3LDK,72㎡の部屋に住んでいて、毎月11,520円の修繕積立金を払っています。これが317円/㎡になると、317円/㎡×72㎡=22,824円/月になります。なんと11,304円も高くなってしまうのです。

あくまでも平均値から考えたわけですが、今後は11,304円は値上がりする可能性があり、22,824円/月ぐらいにはなると考えられます。繰り返しますが、修繕積立金はマンションの規模・構造・形状・仕様・設備の種類などによって変わってきます。そのため必ずこの金額まで値上げするとは言えません。しかし平均値より大幅に下回っているということは、今後値上がりする可能性があると考えて良いでしょう。

値上げが遅いと値上げ幅が大きくなる

修繕積立金が不足するから値上げするのですが、値上げは早ければ早いほど値上げ幅は小さくて済みます。20年目に修繕積立金を値上げしたマンションと、築10年で値上げしたマンションでは不足している金額が違うからです。修繕積立金の見直しは早めに行った方が良いので、早めに専門家に相談することをお勧めします。

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消費税に注意

修繕積立金の不足は、さまざまな要因によって起こります。その中で、消費税はとても厄介な存在になります。消費税が始まったのは1989年ですが、当時の税率は3%でした。しかし97年に5%、2014年に8%、2019年に10%になりました。そのため2013年に竣工したマンションでは、消費税が5%で計画されたままになっていることがあります。現在の税率は10%なので、消費税は当時の2倍になっているのです。

大規模修繕工事の費用が1億円として、消費税は10%なので1000万円になります。しかし5%だと500万円ですから、500万円も計画から不足してしまう計算になります。現在、修繕積立金を算出する長期修繕計画は5年ごとに見直すことが推奨されていますが、消費税の税率が変わるタイミングでも見直しを検討した方が良いと思います。

まとめ

今回は、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」から、将来的にどのくらい修繕積立金が値上がりするかを考えてみました。修繕積立金はマンションの規模・構造・形状・仕様・設備の種類などによって変わってくるので、この計算が絶対に正しいというわけではありません。あくまでも目安だと考えてください。しかしこのガイドラインに書いてある平均値より遥かに安い金額に設定されている場合は、修繕積立金の見直しを検討した方が良いと思います。

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