敷地内のゴミで管理組合がわかる /黄色信号のマンション

先日、お伺いしたマンションでは、敷地内にゴミがちらほら落ちていました。エントランスに向かうスロープの途中にレシートらしきもの、エントランスには小さなビニール袋、駐輪場にはストローの袋が落ちていて、大した量ではないもののあちこちで目につきました。もし私の友人が、このマンションを買おうとしていたら止めるようにアドバイスするでしょう。マンションの敷地に落ちているゴミは管理組合の危険信号で、敷地内のゴミで管理組合がわかるからです。

管理人を注意する人達

別のマンションですが、敷地内にゴミが落ちていたと管理人に住民が注意していました。その人は駐輪場にゴミがあるから、すぐに拾っておくようにと言います。自転車で出かけて帰ってきた時に、ゴミを見つけたのでしょう。行ってみると、確かにコンビニの袋らしき物がありました。管理人はゴミを拾って近くのゴミ箱に捨てていました。

ゴミが落ちていると言いに来た住民は、自分で拾うことはせずにわざわざエントランスまで回って来て管理人に注意しています。ゴミ箱もすぐ近くにありますし、一人で拾えないほどの量が落ちている訳ではありません。管理費を払っているのだから、管理人に仕事をさせようと思ったのかもしれません。またゴミ拾いが嫌だっただけかもしれません。コンビニの袋1つを拾うために、わざわざ遠回りして管理人に拾うように言いに来たわけです。

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なぜマンション内にゴミがあるのか

どんなに優れた管理会社が、どんなに優れた清掃業者を投入しても、マンション内で常にゴミが落ちていないということはありません。清掃を完璧に行ったとしても、その後に誰かが散らかしてしまえば次に清掃に入るまではゴミが落ちているからです。それを防ぐには東京ディズニーランドのように、清掃人を常時巡回させるしかありません。管理費の大幅な値上げになりますが、それも一つの解決方法でしょう。しかし現実的に、そんなことに大金を払う管理組合はありません。

マンションにゴミが落ちているのは、ゴミを落とす人と放置する人がいるからです。一部の住民がゴミを落とし、それを大部分の人が見過ごしているわけです。時々、集合郵便受けの周辺がチラシのゴミだらけというマンションがあります。毎朝、それを片付けるのが管理人の役目になっていて、住民は不要なチラシが入っていたらどんどん床に捨てていき、翌日に管理人が片付けるまで誰も気にしないのです。

自分の資産という意識がない人達

マンションは賃借人を除けば、住んでいる人全員の資産です。自分の資産が汚れていても気にしないのは、住民が自分たちの資産という意識が希薄だからでしょう。管理費を払っているのだから、管理会社にやらせれば良いという考えがありますが、管理会社は管理組合から委託を受けて行っているに過ぎません。そのマンションは管理会社の資産ではありません。

私はよく理事会の方々に「このマンションを管理するのは誰ですか?」と質問をします。この時に「私たち全員です」と当たり前のように回答がある組合は、例外なく運営がとても上手く行っています。反対に「管理会社です」と答える組合は、ほぼ確実に根深い問題を抱えています。管理会社にお金を払っているのだから管理会社に任せれば良いと思うか、自分たちのマンションなのだから自分たちで守ろうと考えているかで、マンションの運営はまるで違っていくのです。

前者の管理会社に任せれば良いと考えている人達は、管理会社に依存しています。そのため管理会社に良いようにお金を払わされている可能性が高いのです。後者の自分たちでマンションを守ろうと考えている人達は、いかに管理会社を使うか、利用するかを考えています。そして自分たちでマンションを守ろうと考えている住民が多いマンションでは、ゴミが落ちていれば誰かが拾いますし、そもそもゴミを落とす人がいません。

管理会社依存の危険性

管理会社にとって、自社の利益確保が最優先の使命です。そのためマンションの利益と管理会社の利益が相反する場合、管理会社は自社の利益を優先します。その典型が大規模修繕工事です。管理組合は大規模修繕工事を可能な限り安くしたいと思います。しかし受注する管理会社は、可能な限り高い金額で受注したいと考えます。そのためまだ劣化しておらず、修繕の必要がない場所まで見積に含めていくことがよくあります。

ここで見積書を厳しくチェックして本当に必要な工事なのか、その金額は妥当なのかを検証すれば良いのですが、管理組合にはそこまでの時間もノウハウもない場合が多く、管理会社に言われるままに工事をして請求されるだけの額を払うケースがほとんどです。

この話をすると「ウチは相見積をとっているから、管理会社の言いなりではない」と言う方もいます。しかしその相見積は誰がとったのでしょうか。管理会社ではないでしょうか。もし管理会社がとった相見積なら、それは全く意味がありません。管理会社が業者に金額を言って作らせた可能性が高いからです。これがよく言われる大規模修繕の談合です。

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管理会社に管理費を払っているのだから、管理会社に任せておけば良いという考え方は、管理会社の良いようにお金を巻き上げられることに繋がり、残念ながらそういう管理組合が多く存在するのです。

ゴミから見える管理組合の雰囲気

少し大袈裟に思われるかもしれませんが、あちこちにゴミが落ちているマンションで、管理組合の運営が上手く行っている例を私は知りません。必ず何か問題を抱えていて、その問題は根深いものになっています。例えば管理会社任せにすれば良いと考える人が多いマンションでは、理事会のメンバーを決めるのにも苦労します。そのような面倒なことは、全て管理会社に任せれば良いと思っているので「私は仕事が忙しいので無理です」とか「子供が小さいので無理です」などと言って、輪番制であっても理事を避けようとする人が出てきます。

また総会の出席率が低く、委任状を出しているにも関わらず、決定したことに後から文句を言う住民がいたりします。総会で決定したことだから従ってもらいますと言うと、理事会の独裁だなどと騒いだりするようなマンションでは、よくゴミが落ちた汚いマンションであることが多いのです。

ゴミだけの問題ではない

マンションの敷地内にゴミが落ちているというのは、単にゴミの問題ではありません。住民の多くが自分の資産であることに希薄なマンションだとわかるのです。そのため管理組合の運営が上手くいっていないマンションが多く、修繕積立金の不足や合意形成ができないなどの問題を抱えていることがほとんどです。自分の家の敷地にゴミが落ちていたら、自分で拾うのは当たり前のことですが、マンションという共同住宅になると他人任せになる人が増えてしまいがちです。

ご自分のマンションを見渡して、あちこちにゴミが落ちていたら危険信号です。そしてこれを解決できるのは管理会社ではなく、住民一人一人だということも、また真実なのです。

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