老後にマンションの修繕積立金は不足する

大規模修繕などマンションの維持管理に使う修繕積立金ですが、不足しているマンションが多くなっています。不足すると老朽化した機器の交換や、壊れた箇所の修理ができなくなり、マンションが廃墟のようになってしまいます。実際に廃墟みたいなマンションは増えつつあり、間違いなく今後の社会問題になっていくでしょう。そして問題なのは、住人が年老いてから修繕積立金が不足することです。そのため修繕積立金の徴収額の値上げもできず、管理ができない状態に陥ります。

修繕積立金の収支

マンションを購入すると、管理費と修繕積立金を毎月払うことになります。管理費は毎月のマンション管理のために管理会社に払っているお金です。修繕積立金は大規模修繕などのために貯める住人全員の貯金です。この修繕積立金は12年ごとの大規模修繕で、ほとんど使い切ってしまうことが多いようです。例えば12年かけて修繕積立金を1億円貯めて、12年目の大規模修繕で9000万円以上を使うような状態です。このような使い方をしていると、20年目頃には修繕積立金が足りなくなってしまいます。

30年しかない長期修繕計画

国土交通省が出している「長期修繕計画ガイドライン」には、長期修繕計画の期間を30年として書かれています。しかしこれは最低期間であり、マンションは60年以上の寿命があるのですから、かなり短い計画といえるでしょう。成人男性が人生の計画を立てるのに、老後の計画を含まないような感じです。

そして30年を過ぎてから、マンションでは高額の出費が続きます。例えば給水管、配水管の全交換、配線など電気設備の全交換、エレベーターの交換です。これらは上記の「長期修繕計画ガイドライン」には含まれていますが、交換時期が35年目などに設定されているマンションもあり、その場合は30年分しか書かれていない長期修繕計画には含まれていないのです。そのため大規模修繕ごとに修繕積立金を使い切っていると、3回目の大規模修繕(36年目)の前に、修繕積立金が全く足りないという事態に発展しかねません。

修繕積立金はいくらあれば良いか

マンションの規模、配棟、仕様などによって必要な金額は倍以上変わります。しかし大まかな目安が存在するので、それを元に考えるのも良いでしょう。国土交通省が出している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」です。こちらに沿って修繕積立金の額を計算してみましょう。

出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

都内の14階建てマンションで100戸ほどの物件だとしましょう。自分の部屋の専有面積は70平米です。このくらいの規模だと、延床面積は10000平米は超えますね。簡単にするために機械式駐車場はなしで考えてみます。

A=178円
X=70平米

Y=178×70で12460になります。毎月12,460円ということです。上にも書いたように、修繕積立金は物件ごとに変わってきます。ですからこの金額は最低金額だと思って下さい。もしこの金額を下回るなら、修繕積立金の見直しが早急に必要です。ガイドラインと同じ位の額でも足りなくなる可能性が大きいので、見直しの必要性が高いと考えてください。

修繕積立金が高額になる物件

都内のマンションで、ガスタービンエンジンを保有している物件があります。地震などの災害に備えて、街中が停電になってもエレベーターなどを動かすことができるように備えているのです。しかしガスタービンエンジンの寿命は20年ほどで、本体価格は6000万円を超えます。長期修繕計画を見るとメンテナンス費用のみが記載されていて、交換の費用は書かれていませんでした。

ガスタービンエンジンを交換する場合、壁の一部(ちゃんとブロック壁になっている)を壊す必要があり、本体価格+周辺機材+壁解体と復旧を換算すると1億円前後が必要になります。もし20年目以降も使い続けるならこれらの費用を修繕積立金で貯めておく必要があり、修繕積立金の大幅な値上げが必要になります。このマンションは他にもコストがかかる設備があちこちにあり、全てを使い続けるなら早急に修繕積立金を3倍にしないと、30年目以降に数億円の不足が出ることが予想されました。

新築マンション一次取得者の年齢層

居住者の年齢問題

国土交通省の「住宅市場動向調査 報告書」によると、マンション購入者の平均年齢は38.8歳で全体の6割は30代と出ています。新築時は世帯主が30代ということは、30年後の主な世帯層は60代ということになります。30年後に修繕積立金が不足すると書いてきましたが、住人のほとんどが60代になって修繕積立金が不足している事態に陥るマンションが全国に多数存在することになります。

30年の間、修繕積立金の値上げをほとんどしていないマンションが、住民が60代になってから3倍や4倍の値上げが可能でしょうか。まず不可能でしょう。そうなると老朽化のための修繕がままならず、あちこちで排水が漏れたり、外壁がひび割れだらけになったり、動かないエレベーターが放置される廃墟のようなマンションになっていくのです。

まとめ

残念ながら多くのマンションで修繕積立金が不足します。まずは「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で修繕積立金を計算してみてください。これを下回っているようでしたら、すぐに見直しに着手することをお勧めします。老後は新しいマンションを買うという方はともかく、そうでない方は老後に資金が不足する事態になりかねません。見直しは早ければ早いほど効果的なので、不安な方は以下のメールフォームから、ご連絡をください。

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