本の紹介:「超ファシリテーション力」/理事会の進め方のヒント

テレビ朝日のアナウンサー、平石直之さんが執筆した著書「超ファシリテーション力」の紹介です。この本を読んだのは、単純に私が平石直之さんのファンであること、そしてこの本を紹介する際に平石さんが「会社の会議やマンションの管理組合の話し合いにも役に立つ」と言っていたからです。この本は直接マンションに関わる本ではありませんが、マンションの理事会や総会などで議論を進める際のヒントが含まれています。

目次

目次は以下のようになっています。

第1章 ファシリテーターの心得
第2章 話し合いを円滑に進めるコツ
第3章 ファシリテーションは準備が9割
第4章 即使える!キラーフレーズ集

著者の紹介

1997年にテレビ朝日に入社し、主に報道や情報番組のリポーターやキャスターを務めています。2004年には現在衆議院議員の丸川珠代氏に代わってニューヨーク支局勤務を経験し、アメリカ大統領選挙の取材なども行っています。現在はネットテレビのアベマ・ニュースの旗艦番組アベマ・プライムの司会進行を行なっていて、白熱する討論を捌く姿から「猛獣使い」と呼ばれています。

私はアベマ・プライムを見ていて、好き勝手に喋り議論の流れを無視してヒートアップする論客を相手に進行する姿を見て、この方の仕事は大変だなと思っていました。冷静に議論を進行しつつ、時に自身がヒートアップすることがあっても嫌味がない仕切りに、いつも感心しながら見ていました。

そもそもファシリテーションとは

最近良く聞くファシリテーションという言葉は何を意味するのでしょうか。この本には、それが一番先に書かれています。

グループ活動を円滑に促進すること。ビジネスシーンでは「仕切る力」「統率力」を示すことが多い。

P.03

このブログの読者の方の多くはマンションにお住まいの方をはじめ、管理組合で頭を悩ませていたり、理事を経験してご苦労を重ねている方が多いと思います。特に理事会では特定の人が延々と話すケースや、議長が促しても誰も意見を言わないケースが往々にして発生します。ファシリテーターは、こういった会議の中で議論を活性化させ、建設的な議論の推進役になります。本書には

円滑なコミュニケーションを促す人=ファシリテーター

P.15

と、一言でまとめられています。いやいや、自分はそんなタイプではないから関係ないと思う人もいるでしょう。しかし本書には、そういった人へのメッセージも書かれています。

あなた自身がファシリテーターではない場合も、ファシリテーターの存在の重要性に気づき、誰にその役割を担ってもらうかを考えるようになれば、それだけでもチーム作りの方向性が固まっていくはずです。

P.16

自分が得意でないなら、誰かにファシリテーターをお願いするのです。せっかくの休日に時間を割いて理事会に出ている方は、貴重な休日を奪われていると感じているかもしれません。理事会の時間を無駄なものにするか、有意義なものにするかはファシリテーターにかかってるとも言えます。

準備・進め方・気をつけること

本書に書かれているのは、会議のための準備と進め方、さらに議論を進行する際に気をつけることを中心に書かれています。細かく進行の仕方が書かれているわけではなく、全体的に平石さんからのアドバイスといった感じなので、気軽に読める内容です。すぐに実践できることも多く記載されているので、できることから始めてみるのも良いのでは無いでしょうか。

この本はマニュアルではありません。ですからこの通りにやらなければならないというガチガチのものではありません。できればアベマ・プライムを見つつ、ここに書かれている内容を平石さんがどうやって実践しているかを見ながら参考にするのが良いのではないかと思います。同じ話が何度も出てきた時、全く結論が見えずに議論が停滞している時、誰かが興奮してケンカ腰になった時、本書に書かれている内容と同じことを番組内で見ることができるはずです。

全てを実践しなくとも良いはず

本書に書かれている内容は、やってみるとかなり難しいものも含まれます。白熱して1人語りを始めた人に、自然にカットインすることなどは勇気と多くの経験を必要とするでしょう。また意見の対立が起こった場合、どちらの意見も否定せずに劣勢側を少しサポートするというさじ加減は、一歩間違えると本書が否定する2対1の対立を生む可能性があります。ですが本書に書かれていることを全て完璧に行うというよりも、本書の内容を意識して会議に臨むことが大事なのだと思います。

なにせここに書かれていることは、著者の平石さんも完璧にできているわけではありません。第2章の話し合いを円滑に進めるコツの中には、参加者に「不意打ちをしないこと」(107ページ)とありますが、平石さんも時々不意打ちをやっています。2021年10月31日放送の「ひろゆき&柏木由紀と考える総選挙」でも、意表を突く場面で柏木由紀さんに振って大慌てさせる場面がありました。これはこれで大いに笑わせてもらったのですが、本書に書かれているヒントを元に、できることから始めるのが良いのでは無いかと思います。

即戦力になりそうなキラーフレーズ集

ファシリテーターとして会議を進める場合に、使えるフレーズをまとめたものが第4章にまとめられています。このフレーズを真似して使うことから始めるのが良いのではないかと思いました。これは会議で起こりそうな場面で、どのような言葉を使えば議論が進むかをまとめたものです。そのまま真似して話せば良いフレーズが並んでいるので、こうした言葉を手帳にメモしておいて、会議に臨むのも良いのでは無いでしょうか。これは私もすぐに使ってみたいと思うフレーズが、いくつもありました。

まとめ

マンションの理事会や会社の会議を進める際のヒントが多く書かれている本です。そしてこの本の強みは、著者の平石さんが実践する姿をアベマ・プライムで見ることができるということです。口では理想論を唱えるけど実際には全くできない人は多くいますが、本書は著者が実践していることをまとめているので、リアルな実例を映像で見ることができます。

そして番組内ではそれが上手くいかないこともあり、焦っている著者の姿を見ることもできます。ですから読者も完璧に実践しようと肩に力を入れることなく、できる範囲でやってみようという気持ちになれます。肩肘張らないで、ベテランアナウンサーのアドバイスを聞くつもりで読んでみるのが良いのではないかと思いました。

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