防災グッズを阪神大震災の被災者に教わる /自宅避難編

前回の避難所編に続き、自宅避難の場合の防災グッズを考えます。阪神淡路大震災で被災した方に聞いた話を元に、書いていきたいと思います。

前回記事
防災グッズを阪神大震災の被災者に教わる /避難所編

防災グッズについて教えてくれた方の現在

兵庫県で阪神淡路大震災に被災し、避難所生活を経て実家がある東京に転勤しました。寝ている時に被災したため、家が倒壊した時の精神的ショックがトラウマになり、一時期は眠れなくなったそうで、家族で心療内科のお世話にもなったそうです。現在は転職して建設業を営んでいますが、死ぬかもしれない経験をしたことで、思い残すことなく楽しもうと人生観が変わったそうです。

事前に避難先の確認を

東京の港区は、在宅避難を原則とすることをアナウンスしています。港区は人口に対して避難所が不足しており、マンションなどで自宅が倒壊しない場合は在宅避難をするように勧めています。

港区のリーフレット

避難所は混雑することが多く、集団で生活するためストレスも大きくなりがちです。近年は避難所での性犯罪の報告も増えており、自宅が無事なら無理に避難所に行くのを避けるように言う自治体が増えてきました。まずお住まいの自治体のwebサイトなどで、避難所に行くべきか在宅避難を優先するべきか確認しておきましょう。

飲料水・食糧

自宅が無事で在宅避難をする場合、飲料水と食糧は必ず用意しておきたいところです。理想は家族7日分、最低でも3日分は用意しておきましょう。飲料水の目安は1人1日2リットルです。1人あたり3日で6リットル、7日で14リットルになります。これを家族分用意することになります。飲料水には保存期限があるので、定期的に交換するようにしましょう。期限が近づいたら消費して、新たに飲料水を購入するのです。

食料品も同様で、レトルトや缶詰などは賞味期限をチェックして、期限が近づいたら家庭で消費して新しいものを買い足すようにしましょう。定期的なチェックを行い、期限切れの食品がないようにしておくことが需要です。

簡易トイレ

ほとんどのマンションでは、給水ポンプによって蛇口から水が出るようになっています。そのため停電になっても水道が出ません。そのためトイレも使えなくなります。復旧にどれほど時間がかかるかわかりませんので、簡易トイレは多めに用意しておいた方が良いでしょう。

被災したストレスから、お腹を壊す人は多くいます。そのためいつもより少しトイレの回数が増えると考えて、簡易トイレを用意しましょう。簡易トイレには多くの種類がありますが、早く固まり消臭効果のあるものを選ぶ方が良いということでした。すぐにゴミ出しというわけにはいかないことが多いので、何日も自宅に溜めておくことになりかねないからです。

常備薬

上記のように被災後はストレスで体調が悪くなる人は多くいます。常備薬は常に家にあるものですが、被災すると新たに購入することが困難になる場合があります。常備薬はなくなってから買いに行くのではなく、ストックを切らさないように買い足していくことを日頃から気をつけましょう。頭痛、腹痛、風邪などの薬は、被災時には意外と消費するようです。

サランラップ

サランラップは、あらゆることに使えます。水が出ない時は、お皿を洗う水も貴重です。お皿にサランラップを巻き付け、その上に料理を盛り付ければ、サランラップを捨てるだけでお皿を洗わずに済みます。また怪我をした際に、傷口にワセリンを塗りサランラップで包むだけで簡易的な包帯になります。傷口を乾燥させないこの方法の方が、傷の治りが早いと言われています。サランラップはいつも家にあると思いますが、ストックを多めにして常に切らさないようにしておくと良いでしょう。

カセットコンロ

ガスや電気が復旧するまでは、カセットコンロが調理に役立ちます。ガスを少し多めに買うようにして、常にストックがあるようにしておきましょう。普段は鍋をする時ぐらいしか使わないと思いますが、調理の全てをカセットコンロで行うとなると、想像以上にガスを使います。平時にカセットコンロで調理をしてみて、どのくらいの料理ができるか試してみるのも良いでしょう。

LEDランタン

外に出る時には懐中電灯が役に立ちますが、停電して室内が真っ暗になる時にはランタン型の電灯が役に立ちます。電気が復旧するまでの数日間ですが、夕方から真っ暗になるとカセットコンロがあっても調理もできません。置いておくだけで周囲が明るくなるランタンは、何かと便利なはずです。

充電式のものと乾電池式のものがあります。普段から使う人は常に充電しているのでいざという時もフル充電で使えますが、普段使わない人は乾電池式のものが良いでしょう。最近のLEDはランタイムが長い物が多いので、明るさとランタイムのバランス(あまり明るいものはランタイムが短くなる)を考えて選ぶと良いと思います。

ラジオ

スマホがあればラジオを聞くことができますが、停電している状況ではスマホのバッテリーをあまり消費したくないものです。そこで乾電池で動くラジオの方が使い勝手が良いと言えるでしょう。AMとFMの両方が使える方が望ましく、また持ち運びができるものが良いでしょう。

普段からの工夫する知恵

防災グッズについて教えてくれた方は、阪神大震災に被災した後に不便な生活を長期間強いられることになりました。必要なものを購入することもできず、あるもので工夫することが必要になっていきました。そのため最も重要なものは、普段から工夫する知恵を鍛えておくことが重要だと言っていました。栓抜きがないから買ってこようではなく、栓抜きがないからあるものでなんとかならないかと工夫する知恵です。普段から工夫するクセをつけておくと、それが災害時にも役立つそうです。

この方が最も強く強調していたのは、この点でした。普段からないものを工夫する知恵を磨いていることで、緊急時にも慌てなくて済みます。「普段から不便を楽しもう」とおっしゃっていました。

まとめ

教わった防災グッズを紹介しました。家庭によって必要なものは変わってくると思うので、それぞれの家庭に応じて準備するのが良いかと思います。しかしどの家庭でも大事になるのは、最後の「普段から工夫する知恵」のような気がしました。防災の備えは普段の生活にあるのだと思います。これを機会に、私も防災グッズを見直してみようと思いました。

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