マンション管理組合はなにをするのか

マンションを買うと、自動的にマンション管理組合の組合員になります。そして理事を決めることになるのですが、最近では理事になる人がいなくて選任に時間がかかることも多いようです。そもそも管理組合や理事会の仕事が、何をするのかわからないという人も多いようです。そこで今回は、マンション管理組合はなにをするのか考えてみたいと思います。

マンション管理の歴史

分譲マンションの歴史は浅く、1953年に東京都が渋谷に分譲した宮益坂ビルディングが始まりです。その後は民間分譲マンションも登場しますが、管理組合は任意団体に過ぎませんでした。加入するもしないも住民の自由だったのです。そのため管理組合の決定事項に従わない住民がいても、強制力がありませんでした。そこで1962年に区分所有法が施行され、マンションの基本的なルールが定められます。

関連記事
マンションの歴史 04 /天国の100万円アパート

※宮益坂ビルディング

また当時は管理規約も管理会社によってまちまちで、マンションごとにルールが全く異なりました。そこで建設省(当時)が、1982年にマンション標準管理規約をつくって業界団体に通知しました。ここでようやくマンション管理のルールが全国的に統一されるようになりました。このようにマンション管理は歴史が浅く、多くの人達が手探りでどうすれば良いかを考えながら現在の手法が作られていきました。

管理組合とはなにか

マンションを買った人は、マンション共用部や土地の維持管理を行い資産価値を維持することを目的とした管理組合になります。管理組合を辞めるには、マンションを売却するしかありません。マンションの運営や共用部に関することは、組合員全員の出席を原則とする管理組合総会で決定します。しかし何かを決める度に全員が出席するのは難しいため、管理組合員の中から代表を決めて理事会を結成します。理事会には理事長をはじめとする役職者がいて、マンションのさまざまな問題について話し合います。

マンションを国だと仮定すると、管理組合員は国民で理事会は国会にあたります。管理費・修繕積立金といった税金の使い道は、国会である総会で決められるのです。国と少し違うのは、重要事項に関しては理事会ではなく管理組合総会で決めなければならないことで、理事会だけで決められることは限定されます。

管理組合の役目は、マンションごとに作られている「マンション管理規約」に書かれています。国土交通省が出している「マンション標準管理規約」を元にほとんどのマンションでそのまま使われているので、これを読めば大体のことがわかります。第1条にはこのような記載があります。

第1条 この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。

住んでいる人全員が快適に住めるように、マンション管理組合は活動することになります。そして組合員の代表が理事会だと言えるでしょう。

理事会は何をすればいい?

原則としてマンション内の決定は総会で行われますが、細かなことまでいちいち総会を開いて全員で決議するのは手間がかかるし面倒です。そこで管理組合の中から選ばれた理事によって理事会が設立されます。理事会は総会で決められたことを実施していきます。管理費・修繕積立金の納入状況の確認や管理会社から管理状況の確認を行ったり、一定の範囲内で日常的な維持管理を行います。

日常的な修繕

電球が切れた、ポンプが壊れた、自動ドアが開かなくなったなどで修理を依頼する場合、管理会社にお願いして見積もりをとってもらいます。思ったより値段が高かく、相見積もりをとることもあるでしょう。しかし電球などの馴染みがあるものならともかく、建築部材の価格や工事費となると、相場を知る人は少ないのが現状です。

また工事費は会社によって変わってきます。会社によって経費の乗せ方が違いますし、その会社が請けている他の工事の量や職人の技量によっても変わってきます。普段から建築工事に関わる人でなければ、高いのか安いのか適正なのか見分けにくいのが現状です。管理会社の担当者から理事会に見積もりが提出されても、それが適正価格なのかを判断することは難しく、見積書通りに発注するケースが大半だと思われます。

そのため管理組合によっては管理会社を通さずに独自に発注したり、コンサルタントを入れて価格のチェックを行っています。

修繕積立金の不足

マンションでは毎月、管理費と修繕積立金が徴収されますが、この修繕積立金が不足する管理組合が増えています。なぜ長期修繕計画通りに集めているのに、足りなくなるのでしょうか?そもそも修繕積立金は、販売時に売りやすくするために安値に抑えられているケースが多く、分譲時の設定では足りなくなる場合がほとんどなのです。中には大規模修繕時に借金をすることが前提の計画になっているマンションもあります。

関連記事
老後にマンションの修繕積立金は不足する
マンションの修繕積立金が狙われている

管理会社が定期的に見直しを行い、総会で報告しているマンションもあります。しかし大規模修繕の単価はここ5年で2割から3割上がっているにも関わらず、そのままの単価で長期修繕計画表が更新されているケースも多く見られます。

居住者からの要請

マンションに住んでいる人は多様であり、理事会にはさまざまな要請があがってきます。隣室のタバコの臭いが部屋に入ってくる、上階の人がうるさい、ペットの糞が共用部に落ちているなどなど、どのように対応したら良いか迷うケースが多々あります。また理事会に上がってくる前に、すでに住人同士でトラブルになっている場合もあり、管理会社任せでは解決しないケースも出てきます。

関連記事
マンションの騒音問題を解決する5つのステップ

まとめ

管理組合は、マンション共用部や土地の維持管理を行い資産価値を維持することを目的としています。そしてマンションを購入すると自動的に管理組合員となることが法律で定められています。組合員の中から理事会のメンバーが選出されますが、多くのマンションは輪番制になっていて全員が理事を経験するようになっています。

そしてここで挙げたような問題に、理事会はどのように対応すればよいでしょうか?管理会社に相談するのも手ですが、日常的な修繕で書いたように管理会社からの提案を検証する場合には管理会社に頼ることはできません。そこで外部の専門家を雇う管理組合が増えています。私の方でもさまざまな相談に応じることができますので、トップページの「コンタクト」からご一報ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です