外壁タイル剥落が起こったらマンション理事会は何をすべきか
タイルの剥落事故が全国各地で起こっています。実際に自分たちが住んでいるマンションでタイルの剥落事故が起こったら、マンション理事会は何をすればよいのかをまとめてみました。人命を奪いかねない事故なので、速やかに行動したいものです。今回は外壁タイル剥落が起こったら、マンション理事会は何をすべきかを書いてみたいと思います。
けが人が出たら警察に連絡を
タイルの剥落でけが人が出たら、警察に連絡しましょう。何も大げさにする必要はないという人もいるかもしれませんが、人身事故なのですから警察を呼ぶ必要があります。これは人道的な見地からだけでなく、怪我をした人から不当な賠償を請求されるリスクを低減する効果もあります。意識を無くすほどの大けがでなくとも、警察を呼んで対応してもらうようにしましょう。
管理会社への連絡と安全措置
すぐに管理会社に連絡をとりましょう。タイルが1枚だけ落ちたとしても、その周囲のタイルも落下するかもしれません。タイルが落下した周辺は危険ですから、管理会社への連絡と同時にカラーコーンなどで周辺を立ち入り禁止にします。その時に管理人さんがいれば、手伝ってもらってもいいです。この作業は先延ばしにはできません。タイルの剥落を知っていながら安全措置をとらずにけが人が出た場合、けがの責任をマンション管理組合が負うこともあります。
またマンション内の掲示板などに、タイルが落下したことを知らせる文書を貼りだして、落下した場所に近寄らないように注意喚起をしましょう。特にお子さんなどが立ち入らないように呼びかけないといけません。さらなる被害が出ないように細心の注意を払う必要があります。安全の確保を最優先にして、これらの作業を大急ぎで行う必要があります。
落下した部分の養生
管理会社には、落下した部分の養生や落下防止ネットの取り付けを依頼します。他のタイルが落下しないようにするためです。この時に、手が届く範囲なら打診棒で浮きがどの程度の範囲まであるか調べてもらう方が良いです。落下したタイルの周辺だけが浮いているのか、それとも広範囲に渡って浮いているのかで処置が変わってくるからです。
広い範囲に渡ってタイルが浮いていれば、1階のカラーコーンで立ち入り禁止にしたエリアを拡大する必要も出てきます。場合によっては、マンション内の出入りが不便になる場合も出てくるでしょう。その場合は迂回路などを考えて、住人に周知する必要があります。管理会社と打合せを行い、どうするかを決定します。
タイルの浮きの調査
タイルがどれだけ浮いているかを調査する必要があります。まずは廊下など歩いて調査できる部分から調査を開始します。そこで何%ぐらいのタイルが浮いているかを確認します。もし何十%も浮いていたら、外部も同じくらい浮いている可能性があるので、足場を架設する準備に入りましょう。もちろん予算の問題があるので簡単にはいきませんが、あちこちでタイルが剥落する可能性があるので調査することをお勧めします。
足場を架設せずに赤外線などでタイルの浮きを調査する方法もありますが、赤外線を使える条件が限られているので万能ではありません。最も確実な調査は打診棒で確認することになります。しかしマンションの状況によりベストな方法は変わってくるので、管理会社や専門家との相談をお勧めします。
責任の問題
タイルの浮きの責任が誰にあるのかは、どれだけ浮いているかによって変わってきます。しかし基準となる数値が明確に規定されているわけではないので、難しいところです。タイルは必ず一定程度は経年劣化で浮きます。築15年のマンションで、全体の3%程度しか浮いてなければ経年劣化と考えて良いでしょう。しかし築8年で20%のタイルが浮いていれば施工不良の疑いが濃厚です。
私は大阪地方裁判所判事の高嶋卓氏の論文を基準にしています。基準になる数値は以下の通りです。
しかしこれは絶対値ではなく、あくまでも目安に過ぎません。この数値を超えていると自動的に施工不良と決めつけることもできないので、その点には注意が必要です。経年劣化であれば管理組合負担で補修することになりますし、施工不良であれば施工会社に不法行為として補修を求めることになります。ただし不法行為は不法行為を知った時から3年、工事をした時から20年になるので築20年を超えるマンションでは不法行為を追求するのは難しいです。
まとめ
簡単ではありますが、タイル剥落事故が起きてからの対応をまとめてみました。対応する際には、タイル落下による事故を起こさないこと注力するようにしてください。しかしほとんどの方が初めての経験でしょうから、何かと戸惑うこともあると思います。対応に悩んでいる方がいましたら、ぜひご一報ください。アドバイスさせて頂きます。