なぜマンションの上層階の外壁に問題が多いのか?

全てのマンションで同じというわけではないのですが、タイルの浮きなどの外壁のトラブルは、下層階よりも上層階で多く見られます。なぜ上層階の方で施工ミスが増えるのか?それにはきちんとした理由があるのです。今回は外壁の施工にまつわるお話です。

外壁は下から上に仕上げる

マンションに限らず建物の仕上げ工事は、1階から上層階に向かって行います。躯体と呼ばれるコンクリートの骨組みは1階から造られ、2階、3階へと順番に上がっていきます。そのため仕上げ工事も下から上に向かって行われます。例外は1階で、工事に足場が不要な上に出入りが多いので最後に仕上げることが多いのですが、2階からは下から上に向かって仕上げ工事が行われます。

つまり最上階の仕上げ工事は、工期の最後の方に行われることになります。工期が足りないとバタバタしてくる後半に、上層階の外壁の仕上げ工事が行われることが、トラブルを招く一因になっています。しかし工期の後半になるからトラブルが多いと言うなら、内装でも上層階の方がトラブルが増えるはずです。しかし内装のトラブルは上層階が多いという印象はありません。外壁のトラブルは、単に工期の後半だからというだけではないのです。

マンションの多くは年度末竣工

多くのマンション工事の竣工は、2月や3月です。3月までに入居を済ませて新年度からの生活に備えることができるようにするためです。そのため上層階の外壁の仕上げ工事は、12月の年末から年始にかけて行われることが多くなります。年末年始のドタバタした中で工事が行われるので、施工不良が発生しやすい可能性があります。しかしこれだけが原因なら、内装でも同じくトラブルも上層階の方が多いことになります。

受電という大イベント

新築マンションの大きなイベントに「受電」があります。これは電力会社(東京電力や関西電力など)から、マンションの受電設備に電力を受けることです。工事の間は仮設電気によって工事を行いますが、受電によって本設の電力を使えるようになるのです。当たり前ですが、マンションに入居してから電気が使えないのでは話になりません。そのため竣工前に受電を行うのは、マンション工事の中で重要なイベントになります。

※受電を行うキュービクル

では仮設電気から本設に変わる受電は、どうやったら受けられるのでしょうか。それには電力会社ごとにさまざまな条件があり、それをクリアしなくてはなりません。そしてどこの電力会社でも同様に、仮設足場が撤去されていることが条件に盛り込まれています。そのため受電日が決まれば、その日までに足場を解体しておかないといけません。

仮に2月10日に受電が決まっているとします。しかし外壁工事が遅れて2月10日には足場の解体が難しくなってしまいました。電力会社に連絡して2月10日の受電日を変更してもらうことにします。ここで変更した日が2月15日などになれば良いのですが、この時期の電力会社はあちこちで受電を行わなければなりません。年度末の受電は多くの物件で重なるのです。ですから変更すると、何ヶ月も後になってしまうのです。

こうなると年度内の竣工ができないので、現場では何がなんでも2月10日までに足場を解体しないといけません。多少の手順を飛ばしても外壁工事を進めて、足場を解体するのです。最近は近隣との協定があったりして、残業や日曜日の工事ができないところがほとんどです。そのため作業時間を増やすことは難しく、工事が雑になってしまう原因になってしまいます。

複数の要因が重なる

工期の最初の頃に比べ、遅れなどを取り戻さなくはならなくなる工期の後半にあたり、年末年始というドタバタした時期に行われ、受電という絶対に遅らせることができない大イベントに直接影響するため、上層階の外壁工事は突貫で行われやすくなってしまいます。そのため上層階の外壁にはトラブルが発生しやすくなり、特に近年ではタイルの浮きが上層階に集中しているケースが見られます。決して全てのマンションで、上層階の外壁の仕上げた突貫工事で行われたというわけではないのですが、上層階の外壁でトラブルが多いマンションは、このような原因が考えられるということです。

まとめ

特にタイルの浮きや剥落に関して、上層階に問題が多いマンションが散見されます。ここに書いた要素が全ての原因ではないですが、工期の後半に工事をする、年末年始に工事をする、受電が控えているので突貫工事をしても終わらせなければならない。このような条件が重なると、施工不良が起こりやすくなります。突貫工事はさまざまな悪影響を与えますが、外壁のトラブルは管理組合にとって大きな負担になります。ゼネコン に不法行為を追求するケースもありますので、原因追求の参考になればと思います。

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