マンションでクレームを入れて失敗するパターン3つを紹介

マンションを買って入居したら、不具合が見つかりました。そこで売主にクレームを入れます。しかしクレームの入れ方にも上手なやり方と下手なやり方があって、やり方を間違えると効果がないばかりか自分が損をする場合もあります。私がマンション デベロッパー でアフターサービスセンターに勤務していた時の経験を元に解説していきます。今回はマンションでクレームを入れて失敗するパターン3つを紹介です。

なぜクレームを入れて失敗するのか

クレームを入れてくる方の多くは感情的になっていて、落ち着いて物事が判断できなくなっていることがあります。そのため普段では考えられないような言動をしてしまったり、判断ミスをしてしまうことがあるのです。今回は代表的な3つのパターンを書いてみます。「欲張る」「攻撃する」「脅す」の3つになります。

①欲張る

クレーム内容「新築に入居したらフローリングに傷があった。」

原則的に引っ越す前にフローリングの傷があれば補修を受けられますが、引っ越した後だと補修は受けられません。引越しの時についた傷か最初からの傷かわからないからです。しかし引っ越しをした日に掃除をしていて、事前のチェックで見落としていた傷を見つけてしまうことがあります。

引越し後に発見した傷の補修はお断りしますが、中には明らかに工具の跡がついていたり、引越しの時の傷とは思えないものがあったりする場合もあります。そうなると担当者によっては、なんとか助けてあげたいという気持ちになることもあるのです。新築のマンションを購入して新しい生活を始めた途端に、自分たちがつけたものではない傷が見つかるというのは、なんとも気の毒な話ですからね。

そこで他の部屋に補修業者が入る日に、ついでにやってもらうことにします。補修に来る職人さんは1人工といって、1日いくらで仕事をします。だから1日で終われば1部屋でも2部屋でも料金は変わりません。そこで他の部屋の補修工事が終わったら、ついでにもう一部屋という感じでお願いすることにします。もちろんお客さんにも、今回だけ特別ですよと念を押します。ところが1度サービスをすると、何度も何度も要求してくる人がいるのです。これ以上は無理だと言っても、以前はできたのだからもう一回頼むといった調子で何度も連絡してきます。

こうやってルールを曲げてでも対応する担当者は、不運なお客さんを助けたいという気持ちで動いているのですが、それを利用するような態度を取られると距離を置くようになります。そうなると、それまではきめ細かく対応していた担当者が、杓子定規な対応をとるようになってしまうのです。

②攻撃する

クレーム内容「水道の水の出が悪い」

お風呂を貯めようとしたらやけに時間がかかる。前に住んでいたマンションより水の出が悪いから、もっと勢いよく出るようにしてくれというものでした。マンションの水圧はポンプの強さや給水管のサイズ、その部屋の階数や位置など、さまざまな条件で変わることがあります。このケースでは調査した結果、建物の設備になんら問題がないことがわかりました。こうなるとできることはありません。水圧を変えるにも減圧弁をいじって多少変更する程度しかないのです。

調査結果を持って説明に行くと、めちゃくちゃ怒られました。「なんとかしろ」「こんな出の悪いマンションには住めない」とか文句を言っている間はまだいいのですが、次第に言うことがなくなって、個人攻撃を始めます。「あんたは社会人としての常識がない」「どんな親に育てられたら、あんたみたいになるんだ」みたいなことを言い出すのです。こんなこと言う人がいるのかと思うかもしれませんが、結構な割合でいます。お客様意識が強すぎる人が、自分の思い通りにならないと我を忘れてしまうのです。

中には殴ろうとする人もいますし、私の部下は軟禁されてしまいました。どのアフター担当者もそうですが、この手の人に骨を折って何かをしたいと思うはずがありません。その場では泣きそうな顔で必死に謝っている担当者も、会社に戻ると「こりゃダメだ」という顔で、なんとか逃げ切ることだけを考えるようになります。そして対応が悪くなると、さらに高圧的な態度に出る人もいるのですが、ますますアフターサービス担当者は逃げることを考えるようになります。

これは会社の姿勢にもよりますが、私は暴力的な姿勢を見せたり「殺す」とか「殴る」という言葉が出たら「話し合いができないので帰ります」と言って引き上げていました。大手のほとんどは社員を守るようになってきているので、社員が暴力を受けたり受けそうにな状況での打ち合わせをさせません。実際に暴力を受けた場合、警察に被害届を出す会社も多いのです。以前はお客様主義偏重で社員は何をされても我慢するしかありませんでしたが、現在は不当な行為に対して厳格な対応をする会社が増えています。高圧的すぎる態度をとると、要望を聞き入れてもらえないだけでなく最悪は刑事処分になることもあるのです。

③脅す

クレーム内容「構造的な問題が見つかった」

図面と鉄筋の本数が異なったとか、柱の位置が図面と微妙にズレていたとか、売主側に責任があるケースです。この場合、売主は非を認めて補修工事をすることになるのですが、補修方法や慰謝料・迷惑料で揉めるケースがあります。慰謝料・迷惑料は弁護士と相談して相場の金額を提示するのですが、私が経験した中で50万円の提示に対して、10倍以上の金額を言ってきた管理組合がありました。感情的になりすぎているのが原因だったと思います。

これほど提示額と離れてしまった場合は、話し合いも膠着します。ましてや感情的になっている場合は、なおさらです。しかし他の判例で50万円くらいのところを500万円も払う売主はいません。こうして揉めていると、殺し文句のように「欠陥があったことをマスコミに言うぞ」と脅してくる人が少なからずいます。マスコミにバラされたくなければ、こちらの要望通りの金額を払えというわけです。こう言われると慌てるアフター担当者もいるでしょう。しかし落ち着いて対応する担当者も多くいます。私はこう言われると、必ず「どうぞ」と言っていました。

これは「裁判に訴えるぞ」と言われた時も同じなのですが、住民の行動を売主が制限する権利はないのです。マスコミに話そうが裁判に訴えようが、それを止めてくれという権利は売主にありません。ですから「どうぞ」という以外にないのです。そして実際にマスコミに欠陥があることを流した人がいました。管理組合の理事長が、自分の知り合いの報道関係者に連絡して報じられたのです。これによって何が起こったかというと、マンション内で大揉めになりました。

このマンションには転勤に伴って売却をしようとしていた人がいました。しかしメディアに大々的に報じられたので、売却ができなくなってしまったのです。売却できないため、転勤先での住宅購入計画も頓挫しました。この方は勝手にメディアに情報を渡した理事長を損害賠償で訴えると言い、他の住民もマンションの資産価値を下げるような行為を理事会が勝手に行ったと責め立てました。

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まとめ

クレームを入れる方の何割かは、怒りに我を忘れてしまう人がいます。冷静さを欠いた言動で、解決を遠のかせてしまう場合が多々ありました。そしてマンションクレームで忘れられがちなのですが、相手が100%悪い場合であっても目の前にいるアフター担当者のミスではないということです。担当者は会社を代表して来ているに過ぎず、その担当者が施工ミスをした訳でも営業で間違った説明をした訳でもありません。アフター担当者は単なる窓口です。

上手にクレームを入れる人は、このアフター担当者を味方につけるのが巧みです。上手なクレームの入れ方については、また別に書きたいと思います。

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