マンションの鍵を警備会社が預かるのが不安だという声

メールにて相談がありました。その方のマンションでは、専有部の鍵を警備会社が預かるように規約が改定されたそうです。他人が自分の家の鍵を持つということに不安があるとのことで、決定後も納得がいかないとのことでした。マンションの鍵を警備会社に預けることに、不安を感じる人は少なくないようです。

かつては管理会社が預かっていた

マンションはホテル風の暮らしができることが、高級感の象徴になっていました。初の民間分譲マンションである四谷コーポラス(1956年竣工)では、ホテルのように外出時に管理人に鍵を預けることができるサービスがありました。このサービスは好評だったようで、後に多くのマンションが追従しています。そして予め管理会社に鍵を預けたり、専有部のマスターキーを作って管理会社が預かるマンションも増えました。

管理会社が預かることで、緊急時の対応が容易になるというメリットがありました。例えば留守中に火災が発生した際に、消防隊が玄関ドアを壊して入る必要がなくなりました。管理会社が鍵を開ければ済むからです。また管理会社の責務が曖昧だった時代には、出かけた後にエアコンをつけっ放しにしていることに気がついたら、管理人室に電話してエアコンを切ってもらう人もいました。

しかしこれがトラブルを招くことになります。管理人が留守中の専有部に進入して窃盗を働くなど、犯罪がしばしば起こるようになります。そのため住民以上の不信感と預かるリスクの高さから管理会社も嫌がるようになりました。この頃は管理会社の担当者による修繕積立金の使い込みなどの問題も起こっていて、管理会社は住民の財産を預かることをしないようになっていきました。

警備会社による預かり

管理会社に代わって鍵を預かるようになったのは警備会社でした。セキュリティ業界最大手のセコムが始めたと記憶しています。これは2000年に竣工したヴィラッジオ5000というマンションが最初と言っていたような気がしますが、あまり正確ではありません。ただヴィラッジオ5000で鍵を預かる仕組みを作るために、セコムと デベロッパー の担当者は密に打ち合わせを行っていました。

警備会社が鍵を預かる仕組みになったのは、室内のセンサーが発報して駆けつけても十分な対応ができなかったからです。留守中にバルコニーの窓に設置している防犯センサーが発報しても、警備員は外部から様子を伺うしかなく室内で泥棒が息を殺していても気がつかない可能性が高かったからです。またインターホンの非常ボタンが押されて駆けつけても、鍵がしまって中の様子がわからないこともありました。意識を失って倒れていても、鍵がなければ確認のしようがないのです。こうして警備会社が鍵を預かるようになっていきました。

関連記事
マンションの鍵はどれが安全なのか

鍵預かりの仕様

過去のトラブルを考え、鍵を預かるために様々なことを想定しています。そこで以下のような仕様にしました。

・専有部の鍵は専用のキーボックスに入れ、マンションの管理人室で保管する。
・警備会社はキーボックスの鍵を預かり、社内で保管する。
・キーボックスは壁に固定して、バールなどで簡単に外せないようにする。
・キーボックスの扉を開けたら警備会社に警報が飛ぶようにする。
・どの部屋の鍵が何時に取り出されたか自動的に記録するようにする。
・管理人室にセキュリティをかけて侵入を防止する。

これらの仕様を定めることで、どの警備員が何時に鍵を取り出したか明確にわかるようにしました。万が一、鍵の紛失が起こっても警備会社の記録と照らし合わせてどの警備員が最後に鍵を使ったかが明らかになるようにしました。その後キーボックスは鍵を取り出したら信号が警備会社に飛ぶようになり、鍵の戻し忘れがあってもすぐにわかるようになりました。

警備会社を信頼できるか

私がいたデベロッパーでは全戸鍵預かりにしていましたが、デベロッパーによっては任意の預かりにしている会社もあったようです。警察官だって犯罪者になる時代なので警備会社も信用できないという声もあり、鍵を預けることに不安を覚える人も少なからずいます。今回、メールで相談をしてきた方のように、赤の他人が自分の家の鍵を持つことに不安を覚えるのも当然といえば当然なのです。

警備会社によって方針も違い、全戸鍵預かりでなければ警備ができないと主張する会社、任意の預かりで構わないという会社など様々です。もし新たなセキュリティシステムをマンションに導入する場合は、各社の違いをよく聞いて自分たちのマンションに合った警備会社を選ぶようにしましょう。鍵を預けるのは、上記のようにトラブルを防止する対策を講じても、最終的に警備会社を信用できるかということに繋がってくると思います。

総会決定後に出る不満

今回、相談を頂いた方は総会で決定した後に、鍵を預けるように言われて驚いたそうです。他のマンション住民も驚いたらしく、今回の決定にマンション内で不満が溜まっているそうです。しかし委任状を提出して総会に出ていないのですから、総会で決定した後に不満を言っても決定は翻りません。総会に出席していれば、その場で不安を表明することもできましたし、納得のいく説明を受けることもできたでしょう。総会は自分たちの資産をどのように利用するかを決定する場所です。総会には可能な限り出席するようにして、積極的に意見を言うようにした方が良いのは間違いありません。

まとめ

かつては管理会社で鍵を預かっていましたが、トラブルが多くなったために預からなくなりました。そこで現在は警備会社が鍵を預かる仕組みが出てきました。警備会社が勝手に鍵を使えないように、様々なルールや仕様が決めてありますが、最終的には警備会社を信頼できるかがポイントになります。

警備会社ごとに様々な仕様があるのでなかなか理解しにくい面が多いですが、それらをわかりやすく解説してお住まいのマンションに合ったシステムを選ぶお手伝いをします。警備システムの見直しや、新システム導入で悩んでいる理事会がありましたら、以下のメールフォームからご連絡ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です