管理組合は借金をするな /借金がもたらす管理破綻

ここ数年、借金をする管理組合が増えているようです。原因は大規模修繕の費用が不足しているからで、管理会社が積極的に借金を勧めることもあるようです。しかし管理組合は借金を可能な限り避けてください。安易な借金はマンションの将来をダメにするからです。声を大にして管理組合は借金をするなと言いたいところです。

資産性が低下する

借金をするとマンションの資産性が低下して、売却時に不利になります。売却する予定はないから自分には関係ないと思う人もいるかもしれませんが、不動産は資産であり、資産は人生の突発的な出来事から自分を救うものです。売却できない、または安くしか売れないのに住宅ローンが残っているなんてことになれば、それは資産ではなく負債になってしまいます。

マンションが借金をしているかなんて、住人以外にはわからないと思われるかもしれません。しかし中古マンションを買う人は、管理会社に「重要事項に関わる調査報告書」というのを依頼することができます。これを見れば管理費の滞納状況や、修繕積立金の残高、借金の状況がわかるのです。借金があるマンションは、売却に不利になります。また売却できても、値下げ交渉が行われると思った方が良いでしょう。

大規模修繕は12年ごとに必要か

マンションでは大規模修繕を12年から15年に1回行います。なぜこの期間で行うのでしょうか。理由の1つは屋上防水の保証期間が10年で切れるので、保証が切れたら再度防水をして10年保証をつけましょうということです。

もう一つの理由は、国土交通省が出している長期修繕計画のガイドラインに出てくる大規模修繕工事が12年周期になっているからです。これをもって「大規模修繕工事は12年ごとに行う決まりになっています」と言う人がいますが、12年というのは一例に過ぎません。何年ごとに大規模修繕工事を行わなければならないという決まりはどこにも無いのです。実際に20年間行っていないマンションも世の中にはたくさんあります。1オーナー所有の賃貸マンションなどは、30年ぐらい行っていないケースも珍しくはありません。

管理会社に勧められるままに、大規模修繕工事を12年程度で行うマンションが多くあります。管理会社からすると大規模修繕工事は大きな利益を得るチャンスなので、どんどんやって欲しいと考えています。劣化しているかに関係なく一定期間で修繕工事する方法は、維持管理する方法として間違ってはいません。しかし最もお金がかかる方法です。修繕積立金が不足するのを避けるには、必要な時に必要な修繕を行えば良いのです。

大規模修繕工事は部分工事でも良い

12年に1回の大規模修繕工事は、長期修繕計画に書かれた項目を全て行う場合があります。これは本当に無駄で、劣化していない箇所まで工事をすることになりがちです。どこがどれだけ痛んでいるかは、マンションによって違います。どんな工法でどんな仕上げ材を使っているのか、どんな環境に置かれているのか、どんな管理を行なってきたのかで、マンションごとに劣化は全く異なるのです。

そのため大規模修繕工事といっても、外壁の補修だけで済む場合もありますし、そもそも12年目に行う必要がない場合もあります。12年ごとに長期修繕計画に書かれているからと言って大規模修繕工事を行っていたら、どんなマンションでも修繕積立金は不足してしまうでしょう。そこで劣化診断を行うのですが、劣化診断にもいくつもの落とし穴があります。これは長くなるので、別の項に書きたいと思います。ここでは多くのマンションでは、劣化診断の結果は大規模修繕工事に用いられていないということだけ書いておきたいと思います。

修繕積立金が不足したら

不足した時の方法は、2つしかありません。収入を増やすことと支出を減らすことです。修繕積立金が不足する事態に陥ったマンションは、この両方をやらなければならないことがほとんどです。

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①長期修繕計画を見直す

収入を見直すために、長期修繕計画の見直しが必要です。なぜ修繕積立金が不足したのかを見ていくと、そもそも長期修繕計画が甘かったことがほとんどです。多くの長期修繕計画は30年分しか書かれていません。しかし最もお金がかかるのは、エレベーターの交換などが始まる築30年を過ぎてからです。そこで長期修繕計画を見直して、不足が予想されるなら修繕積立金の値上げを行うことが必要になります。

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当初の長期修繕計画は、かなりアバウトな数字になっているうえに、販売時の思惑で低めに設定されていることがほとんどです。甘い数字を使って低めに設定された修繕積立金が、不足してしまうのは当然のことだと言えます。

②大規模修繕の時期を見直す

大規模修繕を12年に1回のペースで行う必要は全くありません。問題がなければ、何年でも先延ばしにできます。しかし何十年も何もせずに放っておいて良いはずもなく、適切な時期に適切な工事を行うことが重要になります。どの部分を工事すれば良いか判断するのは難しいですから、プロの意見を聞くことも重要になります。信頼できるプロを探して、普段から相談できるようにしておきましょう。

また、大規模修繕工事は談合が問題視されています。管理会社やコンサルタントが主導し、入札で息のかかった大規模修繕業者ばかりを参加させ、予め決まった業者に落札させるのです。管理会社やコンサルタントには多額のキックバックが支払われ、結果的に割高な工事になってしまいます。国土交通省もこれを危惧し、2017年(平成29年)に「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について」という通知を出して警鐘を鳴らしています。こういったことを予防するためにも信頼できるコンサルタントが必要になります。

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安易な借金を避ける

収入を増やして支出を減らすために、さまざまな方法を講じる必要があります。借金はこれらの方法をやり尽くして、もう他に手段がない時に考えるべきことで、安易に借金をすればマンションの資産性を損なってしまいます。

収入と支出は両輪で、どちらのバランスが悪くてもマンション生活は上手くいかなくなります。これらを見直す際に、どうやったらいいかわからないという方はご一報ください。相談は初回無料でおこなっていますので、お気軽にご連絡をいただけたらと思います。

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