自宅の鍵をバッグに入れて持ち歩くのは危険 /泥棒を呼びかねない危険な組み合わせ

外出する時に、自宅の鍵はどこに入れて持ち歩いているでしょうか。ポケットに入れている人もいるでしょうが、カバンやバッグに入れて持ち歩く人も多いと思います。特に女性はポケットが少ない服を着ることが多いので、バッグに入れているケースが多いと思います。しかしこれは防犯上、あまり良いこととは言えないのです。今回は、なぜ自宅の鍵をバッグに入れて持ち歩くのは危険なのかを解説します。それは泥棒を呼びかねない危険な組み合わせなのです。

新入窃盗犯の実際

警察庁の「令和元年の刑法犯に関する統計資料」を見ると、住宅で起こった窃盗事件のデータがあります。リンク先の32ページにある「図表:2-2-1-2(住宅を発生場所とする侵入窃盗の手口・住宅形態別認知件数 H22-R 元の推移)」に、空き巣・忍び込み、居空きの件数が出ています。この表を見る前に、まずは以下の言葉の意味を押さえておきましょう。

空き巣・・・留守中に侵入して窃盗を働くこと
忍込み・・・就寝中に侵入して窃盗を働くこと
居空き・・・在宅時に侵入して窃盗を働くこと

この表を見ると、マンションは戸建より防犯性が高いと言えます。全ての項目に関して、マンションの方が認知件数が少ないからです。そしてそれぞれの侵入手口を見てみましょう。こちらは「図表:2-2-1-5(発生場所・侵入口・侵入手段別空き巣・忍込み・居空き認知件数 R 元)」に詳しく出ていますので、以下の表にまとめてみました。4階以上の共同住宅では、侵入は表玄関からが最も多くなっています。その手口は392件の「無締まり」が最多で、これは施錠されていない玄関ドアからの侵入です。そのため防犯対策は玄関の鍵閉めが有効な手段だとわかります。次に多いのが370件の「施錠開け」になります。

※図表:2-2-1-5(発生場所・侵入口・侵入手段別空き巣・忍込み・居空き認知件数 R 元)より

では「施錠開け」は、具体的にどのような手口が使われているのでしょうか。施錠開けの手口の内訳をまとめたのが、以下のグラフになります。

ほとんどが「合鍵」での侵入ということがわかります。合鍵ということは玄関の鍵を使って玄関から侵入しているということです。ではその合鍵はどこから手に入れたのでしょうか?最も多いのは、ポストや玄関横のパイプスペースなどに隠してある鍵です。泥棒は多くの家が自宅の外部のどこかに鍵を置いていることを知っていて、それを使って侵入しているのです。そのためマンションの防犯は鍵を閉めることと、鍵が泥棒の手に渡らないようにすることが重要だとわかります。

以前、「平成30年の刑法犯に関する統計資料」を元に記事を書いたことがありますが、その際も同じ結論になりました。鍵を閉めることと鍵が泥棒の手に渡らないようにすることは、ずっと重要なことなのだと思います。

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バッグには自宅住所と鍵が入っている

バッグをうっかり置き忘れた、ひったくりに盗まれたといった場合、バッグの中には自宅の鍵と財布、そしてスマホが一緒に入っていることがよくあります。そして財布の中には免許証があります。紛失したクレジットカードを使用停止にするなどは誰もがすぐに行いますが、免許証と鍵が他人の手に渡ったことは忘れられがちです。免許証を見られるということは、持ち主の本名や住所、顔もわかるということです。

さらに最近はバッグの中にスマホも入れていることが多いので、ロックされていなければスマホの中の自撮り写真やSNSから持ち主の容姿や私生活がわかります。一人暮らしなのか家族といるのか、動物を飼っているのか、何時ごろ家を出て何時ごろに帰宅するのかなどです。SNSに投稿した時には匿名のつもりでも、バッグが他人の手に渡ったことで、私生活が他人に筒抜けになってしまうのです。

持ち主の容姿、住所、そして鍵が他人の手に渡れば、それが犯罪に利用される可能性が出てくるのです。そのため自分のクレジットカードを使われるより、恐ろしい事件に発展する可能性が出てきます。空き巣はもちろん、女性ならば性犯罪の被害にも注意しなくてはなりません。バッグに何もかも入れておくことは、あまりにリスクが高いと言えるでしょう。自宅の鍵、免許証・スマートフォンは、泥棒や性犯罪者を自宅に呼びかねない危険な組み合わせなのです。

侵入された例

某管理会社の方と話している時に、まさにこのような事例を教えていただいたことがあります。たしか2010年頃の話で、都内のマンションでした。

大学生のお嬢さんがコンパで飲みすぎてしまい、電車内で眠ってしまって路線の最終駅まで行ってしまいました。目が覚めるとバッグがなく、財布も携帯電話もなくなっていたそうです。駅員に事情を話して自宅に連絡し、深夜に親に車で迎えにきてもらっています。その2日後に、家に空き巣が入りました。自宅に現金は置いてなかったのですが、ブランド品のバッグや服、商品券や当時人気だったiPodが盗まれたそうです。犯人は昼間の誰もいない時間を狙って侵入していました。

新築マンションだったこともあり、管理会社もセキュリティに問題があったのかと心配したそうですが、警察の調べでこじ開けたりピッキングした跡がなく、盗まれたお嬢さんのバッグに入っていた鍵が使われた可能性が高いとわかりました。お嬢さんの運転免許証には住所はもちろんマンションの部屋番号まで記載されていたので、特定が容易だったと思われます。このような例は他にも多くあると思われます。

スマートキーに写真を印刷する怖さ

私がデベロッパーに勤めていた頃、某マンションデベロッパーが、カード型のスマートキーを導入して宣伝していました。カードでタッチするだけで自宅の鍵の開閉ができるから便利だとして、そのカードには好きな写真を印刷するサービスを行なっていました。最も人気だったのは完成したマンションの写真で、次が家族写真だったそうです。

このサービスを知った役員が、ウチでも同じようにカードキーに写真印刷のサービスを導入してはどうかと言い出したので、その危険性を説明したことがあります。これまで書いてきたように、自宅の鍵に住所を特定するヒントを入れたり家族の写真を入れるなど危険だからです。そのサービスを行なっていたデベロッパーも途中で気がついたようで、そのサービスはいつの間にかなくなっていました。

自動で玄関扉が開く鍵

近づくだけで、玄関ドアが自動的に開く鍵の採用もありました。鍵穴に鍵を刺すこともリモコン操作をする必要もなく、鍵を持った人が近づいただけで玄関ドアが自動的に開く鍵で、某ハウスメーカーが開発していました。この鍵を拾ったり盗んだりすれば、エントランスのオートロックから入れるのはもちろん、マンション内の廊下を歩き回れば部屋を特定できます。近づくだけで開くのですから、不審な行動をするまでもなく歩き続ければ良いのです。ピッキングや打ち破りなどの侵入は侵入に時間がかかるから怪しまれるのですが、玄関前に立つだけなら誰も怪しいとは思いません。

さらにこの鍵の特徴である近づいただけで玄関が開くというのが曲者で、帰ってきて鍵を玄関横の寝室などに置いてしまうと勝手に玄関が開きます。玄関に鍵の置き場を設けている人もいますが、そのような近距離では確実にドアが開いてしまいます。気がついたら玄関を開けっぱなしで寝ていたなど、防犯上あってはならないことが起こりました。現在はこの問題は解消された商品が出ていますが、当時は採用して販売後に騒ぎになる後手を踏んでいました。この鍵は車椅子の方など体が不自由な方には大きなメリットがありますが、どこのマンションにも採用するのは問題があります。デベロッパー時代に社内で散々揉めましたが、積極的には採用しないことで決着しました。

鍵と財布は別に持つ

これまで書いてきたように、鍵と財布は別に持つようにする方が安全です。女性の場合はポケットが少ない服を着ることが多いので、なんでもバッグに入れてしまいがちですがリスクがあることを認識しましょう。そしてスマートフォンは暗証番号でも指紋でもなんでもいいので、ロックをかけるようにした方が良いでしょう。鍵と住所と持ち主の容姿を手にした人は、常習犯でなくても犯罪への誘惑にかられる可能性が出てきます。

また家族の誰かが鍵を無くした場合、その鍵がどこにいったのか不明な場合は、鍵を全て取り替える方が安全性が高いのは間違いありません。釣りの最中に鍵だけを海に落とした、といった明らかに拾われることがない状況なら問題ありませんが、どこで無くしたかわからないようなら全ての鍵を変える方が良いでしょう。ドアノブから交換することになりますし、多くのマンションでは逆マスターと呼ばれる鍵を採用していて、部屋の鍵とエントランスのオートロックが同じ鍵で開くようになっています。そのため割高になってしまいますが、安全性を考えると変えてしまう方が間違いないと言えます。

まとめ

泥棒の多くは玄関から入ってきます。被害の多くは無施錠なので、最大の防犯対策は鍵をかけることです。そして次に多いのが合鍵の使用で、泥棒に自宅の鍵が渡らないようにしなくてはなりません。バッグの中に鍵と財布とスマホを入れておくと、バッグを紛失したり盗まれた時に、自宅の住所と鍵だけでなく持ち主の容姿まで知られてしまう可能性があります。泥棒だけでなく性犯罪の被害者になりかねません。そのためスマホはロックを掛けて、鍵と財布は別々に持ち歩く方が安全と言えます。なかなか実践するのは難しいという方もいるとは思いますが、このことは頭に置いておいた方が良いと思います。

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