騒音問題で追い詰められた夫婦 vol.2

前回からの続きです。騒音問題に悩んでいたAさん夫婦からの相談です。上階で子供たちが走り回る騒音に悩み、苦情を言いに行ったことからマンションで孤立することになってしまいました。上階の夫婦は理事会とも管理会社の担当とも顔馴染みで、さらにマンション内には知り合いが多くいました。そのため多くの人が上階夫婦の味方になり、Aさん夫婦は神経質で上階夫婦に嫌がらせをしていると噂されるようになってしまいました。

前回の記事
騒音問題で追い詰められた夫婦

騒音問題が解決しない原因

①個人差が多い騒音問題

騒音問題は個人差が大きいことが解決を難しくしています。ほとんどの人にとっては大したことがない音でも、一部の人には耐えがたい音に感じてしますのです。街の喧騒が多いところから引っ越してきた人と、閑静な住宅街から引っ越してきた人では、騒音に対する感じ方が全く異なります。喧騒が多いところから越してきた人は、多少の騒音でも普段の音と思いますが、閑静な住宅街から越して来た人は少しの騒音でもうるさいと感じることがあります。

また個人の聴力の差もあります。世の中には恐ろしく耳が良い人もいますし、性格的に細かいことに気にしない人がいれば割と神経質な人もいます。私も騒音のクレームで伺った部屋で騒音を聞かされて「これがうるさいのか?」と疑問を感じたことが何度もあります。しかし本人が不快に感じたら騒音ですし、それで生活に支障が出ているのも事実なのです。人によって騒音の感じ方がそれぞれなので、騒音問題は解決が難しくなりがちです。

②騒音問題では双方が被害者になる

今回の件では、上階の人は子供たちが騒音を出すのではないかと考えていて、クッションを敷くなどの対策を予めやっていました。恐らくですが上階の夫婦は子供の騒音に気を使って生活をしていて、子供たちにも注意していたのでしょう。そしてAさん夫婦からのクレームを受けてからは、さらに注意して生活をしていたと思われます。騒音に気をつけて、これなら大丈夫だろうと思うまで対策をしていた人が、それでもうるさいと言われると、相手が神経質すぎるのではないかと疑念を持つようになります。

それに加えて上階夫婦はAさんのご主人が感情的になって抗議に来たため、Aさん夫婦が過剰に神経質で嫌がらせをしていると警戒するようになったと思われます。恐らく上階夫婦は自分たちは嫌がらせを受けている被害者だと思っており、それを周囲に相談したため、Aさん夫婦がマンション内で悪者になってしまったのでしょう。このようなケースは多く、騒音問題の多くの場合は騒音に悩んでいる人だけでなく、騒音を出している人も被害者だと思っているのです。お互いに被害者だと思っているため、騒音問題は簡単に解決しませんし長引くことになってしまいます。

客観的に証明するしかない

以前、私は以下の記事で騒音問題の解決方法を書きました。しかしAさん夫婦はここに書いてある方法のほとんどが使えない状態になっています。

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騒音があった際の記録を取るのは重要で、これは継続的に取っていれば、たまたまイライラしている時の気分で文句を言っているわけではないことが分かります。好ましいことではないですが、裁判などになった際には記録が一定の説得力を持ちます。今回は子供が走り回る音ということがハッキリしていますが、よくわからない騒音などは記録から騒音が起こるパターンなどを推測して、原因の特定に役立つこともあります。

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第三者立ち合いの元で話し合うことがベターですが、管理会社も理事会も上階夫婦の味方のようなので、客観的に話しを聞いてもらうことは難しいでしょう。上階夫婦と理事長が組んで、Aさん夫婦を説得する展開にもなりかねません。そこで重要になるのが、他の住民の意見です。騒音、特に足音は固体伝播音となってコンクリートを伝わっていきます。そのため両隣の人も同様に騒音に悩んでいる可能性があるのです。両隣を訪問して、騒音に悩んでいないか尋ねます。もし同様に騒音に苦しんでいるなら、一緒に上階夫婦に訴えるように説得します。仲間を増やすことでAさんが異常に神経質で騒いでいる訳ではないと、相手に伝えることが可能になるのです。

そして騒音が起こった際にメモを取るのはもちろん、なんとか上階夫婦に自分の部屋に来てもらい、足音を聞いてもらうのが良いと思います。それが無理なら騒音測定も行うのも良いでしょう。これはスマホアプリの騒音測定や、自分で測定器を借りてきて行うだけでは限界があり、費用がかかりますが専門業者に依頼することを勧めました。正しい測定方法でなければ、データに客観性がなくなるからです。

神経質になっていた可能性も考える

とても話しにくいことでしたが、Aさんが過敏になり過ぎている可能性もお話ししました。もし両隣の部屋を訪ねて全く騒音のことを感じていなければ、その可能性も考慮しなくてはなりません。人は音が気になると、その音を聞きに行ってしまいがちです。そのため小さな音でも聞いてしまい、イライラするのです。Aさんは自分だけでなく主人もうるさいと感じているので、それは考えにくいと言いましたが、2人揃って過敏になっていることは珍しくありません。

お話を聞いていると、Aさんはとてもご主人に気を使っていました。ご主人はAさん以上にイライラしているようで、先に騒音のことを口にしたのもご主人のようです。ご主人は怒って上階に文句を言いに言っていますし、かなり騒音でストレスをため込んでいるようです。そんなご主人のイライラがAさんにも伝わり、ご主人がイライラする騒音に対してAさんが同じように過敏になっている可能性もあります。

しかしコロナ自粛で思うように外出ができず、先行きの見えない生活を送っている中では、誰しも神経が過敏になるものです。また日常生活の中でのストレスで、神経が過敏になることも珍しくはありません。特に新しいマンションに引っ越してきたばかりの人などは、生活環境の変化によって起こりやすいようです。仮にAさんが過敏になっていたとしても、それが異常であるとかAさんに過失があるという話ではありません。これは誰にでも起こりうることなのです。

住民との付き合いの重要さ

Aさん夫婦は2人とも仕事をしているため忙しく、マンション内の人との交流はあまりありませんでした。また夏祭りをはじめとするマンション内のイベントにも顔を出したことがなく、ほとんどのマンション住民を知りません。一方で上階の夫婦はイベントには積極的に参加していて、マンション内に知り合いが多くいます。下階の人から迷惑を受けていると言えば、多くの人がその話を信じました。

普段からよく知る人が悩んでおり、その相手がろくに話したこともない人であれば、誰でもよく知る人の味方になろうとします。そのため気がつくとAさん夫婦はマンション内で孤立してしまい、毎日の生活で苦しい思いをすることになりました。この件では上階の人が悪いのか、Aさん夫婦が悪いのか調査もしていない私にはわかりません。しかし周囲との付き合いの差が、今の状況に陥る一因であったことは間違いないでしょう。普段からの近所付き合いは、こういった時に大きな武器にな流のです。

まとめ

騒音に悩むAさん夫婦は上階夫婦にクレームを入れただけで、マンション内で悪者になってしまいました。Aさんの行動は聞く限りはおかしなものではなく、多くの騒音に悩む人が同じことをするでしょう。しかしあらゆることが後手に回ってしまい、悪い方向に転がってしまっています。この件で注意したいことは、クレームを入れる際には決して感情的にならないということです。よく騒音にイラついて壁を叩いたり怒鳴り込んだりする人がいますが、それは一時的な発散にしかならず、相手によっては面倒な事態を引き起こすからです。そして周囲を巻き込む力があれば、事態はグッと前進します。今回は上階夫婦に周囲を巻き込む力があったので、Aさんは劣勢に立たされてしまいました。普段からの付き合いは、トラブルの際に大きな力になるのです。

こういった問題でお困りの方いらっしゃれば、下記のメールフォームからご連絡ください。状況をお聞きして、アドバイスをさせていただきます。

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