騒音問題で追い詰められた夫婦

騒音問題の相談がメールで来ましたので、ZOOMでお話を聞くことにしました。長い間、騒音に悩んでいたそうですが、今ではマンション内で孤立してしまい、針の筵で生活するような気分だそうです。マンションを購入して5年目で、出ていくわけにもいかず悩んでいました。騒音問題はちょっとしたことから、生活を脅かすことになりかねません。今回は騒音問題で追い詰められた夫婦の話です。

騒音問題の発端

相談者をAさん(女性)とします。結婚してすぐの5年前にご主人とマンションを探し始め、新築マンションを購入しました。3LDKにご主人と2人暮らしで、子供を作るつもりはあるもののなかなか恵まれないそうです。上階に住んでいるのは同じ年頃の夫婦で、入居時に挨拶をしに行ったら双子の赤ん坊がいたそうです。泣き声でうるさくなるかもしれませんが、その時は言ってくださいと言われたそうです。

騒音問題が始まったのは、それから1年を過ぎてからでした。上からドタバタと走り回る音が聞こえるようになったのです。お子さんが1歳半を過ぎて、歩けるようになったのだろうと思い、多少のことはと我慢していました。たまたま上階の奥さんに会った時に、お子さんが元気に走っていますねと言うと、気をつけますと気まずそうに言われたそうです。

今年のコロナ自粛期間に入り、Aさん夫婦は2人とも在宅勤務になったそうです。上階のお子さん達も1日家にいて、ドタバタと走り回ります。幼稚園に行けないためストレスが溜まっているのだろうと我慢していましたが、仕事に集中できないほど大きな音があることもあり、また夜の11時を過ぎても大きな音で走り回ることがあるので、さすがに我慢の限界がきて言いに行ったそうです。

上階の奥さんは申し訳なさそうに謝罪し、部屋の中を見せてくれました。リビングには厚手のクッションが敷かれていて、足音には配慮しているつもりだったと言いました。しかし床を叩きつけるように走り回る音がしていることを伝えると、週末にはさらに厚いクッションを買ってきて、二重に敷くことを約束したそうです。

怒れる上階の夫婦

それから2週間が過ぎても、上階の音は全く変わりません。寝る時は耳栓を使うなどAさん夫婦も対策を行なっていましたが、ある日の夜にあまりにもうるさいのでAさんのご主人が怒り出し、上階に文句を言いにいきました。すると上階もご主人が出てきて、再び部屋を見せてもらうことになったそうです。

上階の奥さんの約束通り、リビングは分厚いクッションが二重に敷かれていました。Aさんのご主人の前でも元気盛りの子供達は走り回り、この足音が響いて寝られないことを伝えました。すると上階のご主人は機嫌を悪くしたように、これ以上何をすれば良いのかと詰め寄ったそうです。

子供達には走らないように注意しているが、この年齢の子供は言ってもすぐに忘れて走ってしまう。うるさいと言われてからは、それまでのクッションを捨てて遮音性が高いものを買って二重にしている。在宅勤務はお宅だけのことではなく、ウチも同様。幼稚園に行けないし昼間に公園にも連れて行けないので、子供の体力が余ってなかなか夜も眠らない。と言ったことを上階のご主人と奥さんが言い、Aさんのご主人は自分勝手な言い分だと言い返して言い合いになって決裂したそうです。

管理会社からの連絡

それから数日後、管理会社から電話が掛かってきました。お伺いして話を聞きたいというので来てもらうことにしました。管理会社の人はやって来るなり「上階の方からクレームが入ったので来ました」と聞かされて、Aさん夫婦は仰天することになります。上階の夫婦が、下の階に住む神経質な夫婦が子供の足音に過剰に文句を言ってくるとクレームを入れていたのです。

Aさんは1日中走り回る音が聞こえて、仕事に集中できないし夜も眠れないと訴えましたが、その時はたまたま上階の足音は聞こえず、管理会社の人は半信半疑のように見えました。さらに管理会社の人は上階にもお邪魔していて、あれほど分厚いクッションをリビング全体に敷いている部屋を見たことがなく、かなり配慮している家庭だと言います。

また管理会社は、コロナ自粛によって多くの人がイライラしているが、共同住宅なのでお互いに気を使いつつ我慢し合うことも重要だと言い、Aさんは自分たちが悪者にされていると感じました。そしてこういった問題は理事会にも相談した方が良いとアドバイスされ、理事長に相談することになりました。

理事長の訪問

理事長の部屋を訪問すると「ああ、Aさんですね」と、まるで来ることを知っていたようでした。理事長は理事会としてどちらかの味方をするわけにはいかないと言い、まずはどの程度の騒音がしているのか聞かせて欲しいと言いました。こうしてAさん夫婦の家に理事長がやって来ることになりました。しかし理事長が来た時は、足音はするもののいつもより遥かに静かで、理事長は「我が家もこのくらいの音はしていますよ」と言いました。

今日はたまたま静かだが、普段はこんなものではないとAさん夫婦は訴えますが、理事長はこの程度の音では上の階の方にこれ以上のことを強いることは難しいと言います。さらに上階の方は分厚いクッションを敷いて騒音には十分に配慮されていますと言いました。上階の夫婦は先に理事長に会い、部屋を見せていたのです。それを知ると理事長の言い分は上階の夫婦を擁護しているように聞こえました。

マンションで噂になる

Aさんは特にマンションの住民を意識したことがなかったのですが、気がつくと周囲がAさんを意識して見ているような視線を感じるようになりました。挨拶をしても返事が曖昧で、何か避けられているような感じがしてきました。そんなことより鳴り止まない騒音で寝不足が続き、ご主人は不機嫌なままで疲れきってしまっていました。

ようやく近所のスポーツジムがコロナ自粛が解除され、限定的ではあるものの使えるようになったので、気分転換のためにAさんは出かけることにしました。そこで同じマンションに住む奥さんに会いました。同じダンスのレッスンを受けているので、よく話をしていた奥さんです。その奥さんから、驚く話を聞かされました。Aさん夫婦がマンションで噂になっているというのです。

些細な音で神経質になったAさん夫婦が、上階に怒鳴り込んだというのがマンション内に流布していて、子供がいないAさん夫婦には子育ての辛さがわからないとか、コロナ自粛のストレスで八つ当たりしているとか、様々なことが言われているようでした。マンション内でジロジロ見られているような気がしていましたが、どうやらその噂が原因だったようです。

気がつくと敵だらけ

その後わかったことですが、上階の夫婦は何期か前にご主人が理事会の理事長になったことがあり、マンション内で行われている夏祭りの発起人でもあるそうです。任期が来て理事長を辞めた後も、何もわからない新人理事のために相談に乗ったりするなど理事会にもよく顔を出しており、夏祭りは夫婦揃ってボランティアをかって出るため、理事会のメンバーだけでなく多くの住民と仲が良いのだそうです。

さらに管理会社の担当者も理事会や夏祭りで何度も顔を合わせていて、上階夫婦を頼りにしているそうです。そのため上階夫婦は理事会や管理会社にすぐに連絡をとり、下階の夫婦に迷惑していると訴えたようです。普段からお世話になっている夫婦が迷惑しているのは大変だと、理事会も管理会社も最初からAさん夫婦を悪者として見ていたようで、相談しても埒が開かなかったのはそれが原因でした。

こうしてAさん夫婦はマンション内で孤立してしまいました。頼れる人がおらず、引っ越すこともできず、ネットで騒音問題を調べている中で私のブログの騒音問題の可決方法を読んで連絡して来たのです。近くなら伺って話を聞きたいところですが、中部地方にお住まいなのでZOOMを使って話をお聞きしました。なぜ騒音に苦しむAさんが、このようなことになってしまったのか。そしてAさんはどうすれば良いのか、それを次回に書いてみたいと思います。

次回に続く
騒音問題で追い詰められた夫婦 vol.2

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