室内でドンドン音をたてて歩く人はわざとやっているのか /マンションの騒音問題

リモートワーク が増えるようになってから、マンションの騒音問題は一気に増えたように思います。これまで昼間はマンションにいなかった人達が在宅して仕事をしているのですから、上階の足音などが気になるのは当然でしょう。メールで相談を受ける中で「室内でドンドン音をたてて歩く人は、わざとやっているんでしょうか」というのがありました。今回は、この足音を踏み鳴らして歩く人を考えてみたいと思います。結論を書くと、私は決してわざとやっているわけではない人が多いと思います。

マンションに多い上下階の騒音問題

マンションでは騒音問題が発生することが多く、しかも解決しにくいためさらに大きな問題になりがちです。分譲マンションで騒音問題が起こると管理会社に連絡する人もいますが、管理会社は基本的に管理委託契約の内容を実行するだけなので、騒音問題に関してなにもしないことが珍しくありません。管理人さんに相談すると「そのような相談を受けてはダメだと会社から言われています」と言われることもあります。契約外の業務を管理会社が行わないのは、当然と言えば当然ですよね。

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そこで管理組合の理事に相談する人もいますが、原則的に騒音問題は当事者同士で話し合うことになっているので、全く相手にしてくれない場合もあります。そのため騒音問題の解決は難しく、長期化し、当事者同士のケンカになってしまうことも珍しくありません。特に足音が続くと嫌がらせをされているように感じ、怒りを募らせる人も多くいます。騒音に迷惑している人は上の階の人がわざと音を立てているのではないかと腹を立てますが、文句を言われた人は神経質な人が嫌がらせをしていると腹を立てるので揉め事になってしまうのです。以前、騒音問題が発生した時の対処方法をまとめたので、そちらもご覧ください。

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足音を立ててしまう理由

このドスドス歩きとかドンドン歩きと呼ばれる歩き方ははあちこちで問題になっているようで、ネットでも同じような悩みを書いている方を多くみつけました。そして歩き方はマナーの問題で、親の躾によって決まると書いている人も多くいました。確かに躾による部分もあるでしょうし、マナーの問題でもあるでしょうし、癖になっている部分もあると思います。しかしそれだけではない部分もあるのではないでしょうか。足音を立ててしまう理由を以下にまとめました。

①ハイヒール・厚底靴の弊害

最近の女性のヒールの高さは、7cmや9cmというのが多いようです。夫人靴をオーダーメイドで作る職人に聞いたことがあるのですが、1日中履けるヒールの高さは5cmが限界だそうで、それ以上の高さはどんな風に作っても足に大きな負担がかかると言っていました。本来7cmや9cmのヒールはパーティ用で、パーティ会場で履き替えて2時間ほど使う靴だったそうですが、いつの間にか1日中履くのが当たり前になってきました。その弊害で外反母趾などの人が増えているのですが、普段の歩き方にも影響を与えているようです。

これほど踵が高い靴は、爪先を立てるようにして歩くことになります。高いヒールの靴を1日中履いてから脱ぐと、爪先から接地する癖がついているのに踵がないため歩きにくく感じます。そのため無意識に爪先を床につけてから、踵をドスンと落とすように歩いてしまう人がいます。ヒールを履いているときの感覚が体に残っているので、室内ではヒールを履いていないのに体がヒールを履いた時のように動いてしまうんですね。

また厚底靴も同様で、靴底が接地するはずのタイミングで足を降ろしているのに足が接地せず、そこから数センチ下に足を降ろして接地することになります。そのため接地のタイミングがズレてしまい、ドンドンと音を立てて歩いてしまうことがあるのです。私は地下ピットに入る際などに足を保護するワークブーツを履きます。靴底が2cmから3cmの頑丈な靴で1日歩いた後に家に帰ると、歩き方がドンドン音を立てるようになっていることがあります。接地のタイミングが変わってしまい、一時的に変な歩き方になってしまうからです。このように高すぎるヒールが、歩き方をおかしくしてしまっている場合もあるでしょう。

②スポーツの癖

陸上競技の短距離走の選手は、足を出すときに膝を高く上げてから足をストンと落とすようにして走ります。そのためか普段の歩き方は普通なのに、早歩きや大股で歩く際には足をストンと落としながら歩く人がいます。陸上の癖が歩き方に出ているのです。長い時間をかけて習得した走り方なので、無意識のうちに足を落とすようになっているのでしょう。

私が陸上競技をやっていた頃は、膝を高くあげてから足を振り下ろすように走るように言われていました。そのため陸上を辞めてからも、しばらくは足を地下強く設置させていたのでドンドン音をたてて歩いていました。当時は戸建に住んでいたのですが、親からなんでわざと音を立てて歩くのかと言われて困惑した記憶があります。わざとやっている自覚がなく、完全に無意識だったからです。このようにスポーツで癖になった足の運び方を普段でも行ってしまう人もいると思います。

③幼少期特有の歩き方

小さな子供の場合は、少し事情が変わります。歩き始めたばかりの子供の足音は大きく感じます。これは幼児は体型的に頭の方に重心があるため、左右に揺れながら歩いているからです。またゆっくり歩くことができず、歩くというより走るように移動する子供も多くいます。これに加えて歩幅が小さいため常にバタバタと移動していて、足音が響きがちです。これを親のしつけが悪いと批判する人もいますが、体の構造上どうしようもない面があります。また歩き始めたばかりの子供は歩くという行為に楽しさを覚えていて、歩くことに夢中になっているので、どれほど注意してもバタバタと歩き(走り)続けてしまいます。

多くの場合は踵歩きが原因

このように様々な原因があると思われますが、普段から踵の低い靴を履いていてスポーツの経験もあまりないけどドンドン音を立てて歩く人もいます。こういう人の多くは踵から接地する踵歩きになっているケースが多くみられます。踵から勢いよく下に下ろすため、踵がドンと床を鳴らすのです。踵歩きをする人は、これが癖になっているので修正するのは容易ではありません。またその歩き方が当たり前になっているため、見た目にもおかしな歩き方であり、無駄に足音を立てていることにも気づいていません。こういうケースでは、普段の歩き方を改善するしかないと思われます。

スリッパで解決する足音

意識して踵歩きを治すのは難しいですが、スリッパを履くことで簡単に解決します。スリッパは踵の部分がないため、足先でスリッパをすくうようにして歩かねばならず、また踵から足を下ろすと歩きにくいために勝手に踵歩きが修正されます。また室内でついつい走ってしまう人も、スリッパだと走りにくいので矯正することができます。もし室内での踵歩きが気になるなら、スリッパを履くことをお勧めします。

その一方で、スリッパではパタパタ歩きが騒音になることもあります。つま先でスリッパをすくうように歩くため、踵の部分が床を叩く音がするのです。裸足だと踵歩きになり、スリッパを履くとパタパタ歩きになってしまうような人もいます。こうなると難しく、普通の人以上に常に歩き方に気をつけないといけません。また防音マットを活用して、音を響かせないようにすることも重要になります。

防音マットで遮音する

小さな子供は、何を言っても走り回ります。子供を叱りつけたり叩いたりして恐怖で萎縮させれば走らなくなりますが、それは躾の範囲を超えていて子供にも悪い影響が出てしまいます。ですから子供が走るのは躾ができていないというのは、ちょっと違うと思うのです。そこで遊ぶエリアを決めて、そこに防音マットを敷くようにしましょう。よくマット程度では歩行音の防音ができないという声を聞きますが、そもそも防音マットではないものを敷いているケースも多く見かけます。よく下の写真のようなジョイントマットを敷いている家庭がありますが、これにはほとんど防音性がありません。この手のマットが防音性を発揮するのは子供がつかまり歩きをする位までで、歩き回るようになると全く効果がなくなります。最近は歩行音の対策を行った防音マットが売られているので、お店の人に相談して防音性の高いものを選ぶようにしましょう。

一方で、大人がついつい踵歩きをしてしまう場合にも、このようなマットにも一定の効果があります。もちろんもっと分厚いマットの方がより効果がありますが、自分の歩き方が気なる方は使ってみても良いと思います。

まとめ

室内で足音をドンドン音を立てて歩く人は、ほとんどの場合が無意識だと思います。親の躾が悪かったという意見もありますが、ヒールや厚底の靴を履いていたり、スポーツによって癖がついている人もいます。踵歩きをすることで足音が大きくなりがちですが、スリッパを使うことで改善されるのでぜひ試して見てください。

室内でドンドン音をたてて歩く人はわざとやっているのか /マンションの騒音問題” に対して2件のコメントがあります。

  1. しろたん工業 より:

    結局は育った環境だと思う
    私は木造一軒家で育ったため木造の響きかたは理解しているためなるべくうるさくないように気を使っています。
    2回言っても直らない人は無理だと思って放置します。
    自分から出ていくのがベストだと思って引っ越します。
    引っ越すまでの我慢と思うと我慢できました。

    1. TaCloveR Tokyo より:

      コメント、ありがとうございます。

      騒音問題は解決が難しく、無闇に騒音を出さないようにしなくてはならない反面、受忍することも求められます。どちらも程度問題なので、最終的には裁判をしないと結論は出なくなってしまいます。

      ですから引っ越しができるのであれば、それが最も良い方法かもしれません。

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