Dr.TaCのマンション診察室 /パニック障害

この診察室では、マンションで起こっている問題を診察しています。今回の患者さんはマンションのトラブルのおかげで夜も眠れなくなっているそうです。さっそく診察してみましょう。

症状

何もない時に火災報知器が鳴るようになりました。夜中でも昼間でも鳴ります。火災が起こったり煙が出ているわけでもないのに、突然鳴り出すんです。マンション全体で鳴るので、夜に鳴ると住民の全員が起きてしまいます。その度に管理会社がやって来て警報を切るだけなので、何度も警報が鳴っています。夜もおちおち寝られない状況が続いているのですが、どうしたら良いでしょうか。

問診票

年齢:築18年
性別:分譲マンション
身長・体重:12階建 85戸
本日はどうされましたか?:火も煙もないのに火災報知器が勝手に発報する。
症状はいつ頃からですか?:3ヶ月ほど前から
過去に手術の経験はありますか?:4年前に大規模修繕を実施。
過去に同じような症状が出たことはありますか:なし
治療中の他の病気はありますか:特になし

診察

火災報知器が、夜中に突然鳴り出したりして眠れないんですよ。

その時はどうしてるの?

30分くらい経ってから警備会社の人が止めに来るんですけど、修理するわけでもないから何日かしたらまた鳴るんです。

警備会社は警報が出たら確認するだけだからね。彼らは修理したり維持管理するわけじゃないから。

そうなんですか。じゃあ、警備会社が来ても意味がないんですね。

火災や漏水があったら、一次対応と言って最初の対応をするのが警備会社なんだ。だから彼らが駆けつける意味はあるんだよ。だけど誤報だったから、警備会社は誤報だったと報告して仕事が終わるんだ。

そういう役目なんですね。

誤報が続くことに、管理会社はなんて言ってるの?

1ヶ月くらい前に修理のために業者を呼んだんですけど、またすぐ警報が鳴ってました。修理業者がダメなんですかね。

修理業者がダメなのかもしれないし、警報システムにあちこちガタが来ているのかもしれない。築18年だから後者の可能性も高いね。誤報にはいくつかの原因があるんだ。

誤報の種類

火災報知器には熱感知器と煙感知器があります。それぞれ共通する原因と、その感知器特有の原因がある場合があります。

①ホコリ・チリによる誤報

熱感知器は温度の上昇により内部の空気が膨らむことで発報します。しかし空気が膨らむ一方ではまずいので、空気を逃す小さな穴が空いています。長年の設置により、その穴にホコリやチリで詰まると、気温の変化によって発報してしまうことがあります。

煙感知器は煙を吸い込むことで発報します。煙を吸い込む穴にホコリやチリが入ることで誤作動を起こしたり、煙が充満しても発報しなくなるなどのトラブルを起こします。

②衝撃による誤報

背の高い荷物を運搬中に、火災報知器にぶつけてしまうと発報してしまうことがあります。本来は熱膨張や煙によってスイッチが入るはずが、衝撃によってスイッチが入ってしまうのです。この場合は壊れてしまっていることが多く、取り替えない限りはご誤報が続くことが多くあります。

③天候の変化による誤報

熱感知器は先ほどの説明のように、内部の空気が膨らむことで発報します。そのため直射日光が当たると発報することがあります。また台風の接近などで負圧になると熱感知器内部も負圧になり、そのせいで発報することがあります。

④水濡れによる誤報

マンションの漏水により、内部の機械がショートして発報することがあります。これは感知器だけでなく受信機や警報盤でも同様で、警報システムのあらゆる機器が水濡れすると誤報の原因になります。

⑤経年劣化による誤報

回路のサビ、劣化などで誤報が出ることもよくあります。長年のホコリなどのゴミが溜まったりすることで、回路がショートすることもあります。経年劣化による誤報は珍しくなく、ある程度の築年数になると誤報が出るようになるのは避けられません。

診察の続き

火災報知器の誤報は、人間で言うと「パニック障害」や「パニック発作」と呼ばれる症状ですね。危険なことが何もないのに神経が、危険だという信号を出してしまう症状です。だから突然、何もないのに発汗したり激しい動悸が襲ってきたり、恐怖を感じて叫び出したりしてしまう。

パニック障害は薬で治療するんですよね。

薬物療法と精神療法的なアプローチを併用するから、長期的な治療が必要らしいね。だけど火災報知器の場合は機器や回路の交換で改善するから、予算を確保すればすぐに工事ができる。理事会で相談して、早めに工事をしましょう。

わかりました。帰って理事長に相談してみます。

まとめ

火災報知器はさまざまな原因で誤報を出します。特に古くなると誤報が増えてしまいます。そうなったら早めの点検と改修工事の検討を行いましょう。火災報知器は定期的に点検を行っているので、点検業者に見積書を依頼するのが一般的です。火災報知器は火災の被害を最小限に抑えるための重要な設備ですから、早め早めの対応が大事だと思います。

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