マンション理事はボランティアなのか?/理事の仕事を考える

頂いたメールの中に「理事はボランティアなのに仕事が多すぎる」というものがありました。以前から理事はボランティアという言葉をよく見かけるので、このことについて書いてみたいと思います。マンション理事はボランティアなのでしょうか?ボランティアじゃないとすれば何なのでしょうか?

やたら忙しい理事の仕事

マンション理事の仕事は実に多岐にわたります。管理費や修繕積立金の毎月の収支の確認、住民からの苦情、壊れた設備の修理の発注、法的な定期点検の準備などなど、理事会は毎回のように課題が沢山出てきます。それを話し合うために毎月のように理事会があり、その理事会のために準備などの作業が必要になることもあります。

以前は、これらの仕事の多くは管理会社が勝手にやって報告をもらうだけでした。しかし近年では管理会社は管理委託契約以上の仕事はしないようになり、本来の管理会社の仕事に特化するようになりました。管理会社は理事会や総会で決定したことを実施するだけなので、意思決定の多くは理事会でやらなければならないのです。

ほとんどの人が仕事をしているため、時間に余裕がありません。全員がない時間をやりくりしてマンションを管理するための仕事をしているのです。責任も大きく、時には総会などで住民から激しく批判されることもあります。そんな大変な仕事なのに無報酬の場合がほとんどなので、ボランティアと言われているのです。

もっとも難しい合意形成

マンション管理組合の運営は、極めて民主的なルールで行われます。そのため基本的に多数決で意思決定が行われます。総会では議題によって、過半数の賛成が必要なもの、3/4以上の賛成が必要なものなどがあり、定められた以上の賛成が集まらなければ実施ができません。

典型的なのが建て替えの議論で、建て替えを決めるには「区分所有者および議決権の4/5以上」が必要になります。総戸数が100戸のマンションなら80以上の賛成が必要で、多くのマンションでは賛成数が足りずに否決になっています。そのため建て替えに限らず大きな決断をする場合には、事前に説明会を開くなどの下準備が必要になります。説明会を開くにも、理事は多くの仕事をこなさなければなりません。

そしてどんなに必要に迫られていても、反対する人が一定数はいます。必要だからと押し切るようなことをすれば批判が起こりますが、いつまでも反対派の意見を聞くだけでは物事が進みません。こうして理事は神経を使いながら、忙しい中で仕事をしているのです。

戸建の合意形成は簡単

戸建に住んでいれば、このような面倒な理事の仕事はありません。マンションの管理組合運営で、もっとも大変なのは住民の合意形成ですが、戸建なら家族会議で済みます。家庭によってはご夫婦どちらか片方の意見で決定することもあり、意見が二分して延々と議論するということは少ないと言えるでしょう。家族ですから集まる時間も自由ですし、家族なので遠慮のない議論が可能です。

稀に家族だから話し合いがしにくいということもあるでしょうが、家の修理や火災保険などのことなどで話し合いが難しいということはほとんどないと思います。食事中でも寝る前の時間でも、空いた時間に話して結論が出ることがほとんどだと思います。

理事はボランティアなのか

ボランティアは、自らすすんで社会活動などを行うことです。地震や災害などの被災地復興のボランティアに出かける人も多いと思いますが、主に4つの原則があります。

自発性… 自由な意志で行なうことで、強制や命令で行われることではありません。
無償性… 活動の対価や利益を求めないことで、営利目的の活動ではありません。
社会性… 個人の関心や動機から始まったことでも、活動することによって社会へ影響を与えるということです。
創造性… 独自の考えによって先駆的な、創造性豊かな活動ができるということです。

マンション理事は立候補で決まる場合もありますが、輪番制で半ば強制されるケースもあるので、自発性に当てはまらないこともあります。そして無償性ですが、理事としての活動は自らのマンションの資産性を守ることにもつながるので、他の住民の利益だけでなく自らの利益のために働くことになります。これではボランティアとは言えないと思います。報酬の有無に関してばかりに気を取られがちですが、そもそもの活動が自らのために行っているということが忘れられがちです。

理事は自分の利益のために働く

戸建てに住んでいれば、雨漏りがあれば自分で修理を依頼しますし、鍵が壊れたら業者を自分で探すでしょう。誰もやってくれないので自分でやるしかないのです。忙しいとか仕事があるとか面倒だとか、そんなことは言ってられません。自分がやらなければ、壊れたものは壊れたままですし、保険が切れたら切れたままなのです。

マンションの場合は建物を大勢で共有しているので、理事を輪番で決めているに過ぎません。戸建てもマンションも、本質的にやることは同じなのです。もちろんマンション特有の問題もありますが、自分の資産を守る活動であることに変わりはありません。

理事はボランティアという考えは、他人のために奉仕しているという意識が潜在的にあると思います。そのためボランティアという考えが理事会に蔓延すると議論は他人事になりやすいですし、管理会社任せになりやすいのです。理事の仕事は自分のためという意識は、希薄になりがちですが重要なのです。

まとめ

理事はボランティアとよく言われますが、ボランティアの定義に照らすと理事はボランティアではないと思われます。何より理事の仕事は、自分の資産を守るためにあるのですが、その視点は忘れられがちです。自分の資産を守るという意識が希薄になると理事会の議題は他人事になり、手間暇を使って行っているのに中身の薄い理事会になってしまいます。確かに理事は面倒ですが、ローンを組んでまで手に入れたマンションを生かすもダメにするも住民次第です。それを忘れない理事会が、マンションを守っていくと思います。

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