地震ハザードカルテの見方と使い方 /あなたの住まいの危険度を診断する

地震ハザードカルテとは

独立行政法人 防災科学技術研究所(略称:防災科研/NIED)が各地点の地震ハザード情報をまとめたものをネット上で公開し、住所を打ち込むだけでそれらの情報を知ることができるのが地震ハザードカルテです。2013年に試験的に公開してから、何度もブラッシュアップをしています。

地震ハザードカルテでは、その場所で一定期間に見舞われるであろう震度5弱以上、5強以上、6弱以上、6強以上の地震が発生する確率や、その場所における地盤の軟弱さなどを総合的に評価することができます。地震が発生する確率を知ることで、マンションの防災対策を考える際に使うことも可能ですし、個人で地震の備えをする際の参考にもなるでしょう。

サイトのリンク先:地震ハザードカルテ

地震ハザードカルテを使ってみる

「場所を検索」というボタンがあるウインドウに、住所を打ち込みます。そして「場所を検索」ボタンをクリックすると、小さな窓が出てきて住所が出てきます。そこをクリックします。そして下にある「診断する」のボタンを押すことで診断ができます。作業はこれだけです。ご自分の住まいの住所を入力して、診断してみましょう。ここでは東京都庁の住所を入力してみましょう。都庁の住所は東京都新宿区西新宿2丁目8−1になります。ウインドウに住所を入力して「場所を検索」をクリックします。

「診断する」をクリックすると、カルテが表示されます。このカルテの見方を以下に書いていきたいと思います。

ハザードカルテの見方

ハザードカルテはA4サイズ1枚程度の大きさで出てきます。右上のPDFボタンを押せば、A4サイズのPDFファイルとしてダウンロードができます。以下にそれぞれの項目の見方を説明していきます。

①評価地点情報

評価地点(入力した住所)の情報になります。入力した住所のおよそ250m四方のメッシュ内のデータになります。そのメッシュの中心の緯度・経度、メッシュ内の平均的な標高、メッシュ付近の住所が記載されています。またメッシュ内人口は、平成22年国勢調査のデータが反映されています。

②総合評価

各項目をAからEの5段階評価で表しています。このレーダーチャートの赤い部分の面積が大きければ大きいほど、地震のリスクが高いと言えます。この総合評価の内容の詳細が、それぞれ他の項目に記載されています。

②-1震度5弱以上となる確率

震度5弱の地震が起こる可能性を表しています。東京都庁はEになっています。ただしこのEという評価は26%以上を示すものなので、すぐに震度5弱の地震が起こるわけではありません。右隣にある「震度6弱以上となる確率」も同様です。AからEの確率は以下の通りになります。

②-2再現期間1000年の震度

1000年の間にどのくらいの地震が起こるかを想定したものです。東京都庁はEになっているので、1000年の間に6強以上の地震が起こることを示しています。

②-3Vs=1,100m/s上面の深さ

揺れの増幅に影響する堆積層の深さを表しています。Eなら地震の揺れが増幅しやすいエリアということになります。東京都庁はCなので上面深さは500m以上1000m未満になり、ある程度は地震が増幅するエリアだとわかります。この詳細は「④深部地盤」に書かれています。

②-3Vs=2,700 m/s上面深さ

地震基盤相当の固い岩盤の深さを表しています。東京都庁はDになっていて、2000m以上3000m未満だとわかります。このことから、比較的揺れやすい地盤だということがわかります。詳細は「④深部地盤」に出ています。

②-4地盤増幅率

表面近くの地層の地震時の揺れの大きさを示したものです。一般的には1.5を超えると要注意と言われています。東京都庁はCになっているので、1.4以上1.6未満になります。これは「③表層地盤」に詳細が出ています。

③表層地盤

そのエリアの表層地盤に関する情報を表記しています。

「地盤増幅率(Vs=400m/s~地表)」は、上記で説明した「地盤増幅率」と同様です。ここでは具体的に数値を示しています。東京都庁は「1.49」になっています。一般的には1.5を超えると要注意と言われていますのが、ギリギリ1.5を下回った数値になっています。「微地形区分」は、全国的に分類されている地形・地盤の区分になります。東京は関東平野のローム層なので、東京都庁はローム台地になっています。「30m平均S波速度」は地表から深さ30mまでのS波の平均速度になります。

グラフの詳細を見るよりも「ゆれやすさ上位○%」を見る方がわかりやすいと思います。全国の値に対し揺れやすい方から、上位何%に入っているかがわかります。東京都庁は上位9%ですから、かなり揺れやすい位置に建っていることがわかります。

④深部地盤

総合評価に出ていた「Vs=1,100m/s上面の深さ」と「Vs=2,700 m/s上面深さ」の具体的な数値が出ています。

⑤30年、50年地震ハザード

ある地点で今後30年、50年以内に想定される揺れの大きさを超える確率が「超過確率の値」になります。東京都庁では震度5弱を超える地震が30年以内に来る確率が99.9%、震度5強を超える地震が来る確率が92.4%になります。

「震度の値」を見ると東京都庁で今後30年間に震度6強の地震が来る確率が、3%と6%になっています。「地表の最大速度の値」は、30年/50年間に、ある値以上の確率で見舞われる地表の最大速度の値になります。この項目で、どのくらいの規模の地震リスクがあるかがわかると思います。

⑥ハザードカーブと影響地震カテゴリー

ここはグラフに着目しましょう。全ての地震を表す黒の線を見ればおおよそのことがわかるのですが、グラフが上に行くほど一定以上の揺れが起こる確率が高く、グラフが右に行くほど強く揺れる確率が高くなります。東京都庁は上にも右にもグラフが伸びているので、強く揺れる確率が高いことがわかります。

⑦長期間平均ハザード

こちらの表は見たままになります。500年以内に震度6強の地震が起こり、1万年以内に震度7の地震が起こるという意味です。

まとめ

一見すると複雑な表ですが、これで大まかなポイントは抑えられると思います。今住んでいる場所、新たに購入しようとしている不動産の場所の地震による危険性がわかります。簡単にチェックできるので、まずは自分が住んでいる住所を打ち込んでみてください。ただしここでは可能性を表示しているに過ぎません。悪い結果が出たからといって、そこに住んでいたら危険というわけではなく、地震が起こる可能性があるということです。ですから慌てずに地震がやってきた時に備えて準備をしましょう。

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