野丁場と町場の違いを知っていますか? /建築業者にも色々ある

マンションに修繕はつきもので、その度に建築業者を呼んで工事を依頼することになります。多くは管理会社から紹介された業者を使うのですが、最近は理事会が独自に業者を呼ぶことも増えてきています。また入居者に建築関係の会社の人がいたら、そちらを使うなんてこともありますね。そんな建築業者に野丁場や町場といった言葉が使われることがあります。この野丁場と町場の違いを知っていますか?今回は、それを書いてみたいと思います。

町場(まちば)とはなにか

町場は「まちば」「ちょうば」などと読み、江戸時代には、住宅や商店が集まっているところを町場と呼んでいました。現在でいう市街地のことです。また農村の集落なども町場と呼ばれていました。町奉行が治める町場では、その町にいる人に仕事を依頼するのが不文律というか習慣だったようです。そのため家を建てるとなると、同じ町に住む大工に仕事を依頼していました。

家を建てる現場を丁場(ちょうば)と言います。丁場は建築関係に限った言葉ではなく、一つの限られた場所で仕事をするという意味で、さまざまな業種に使われていました。家を建てる仕事が始まると、大工を筆頭にさまざまな業種の人が集まります。そのため町場の丁場、すなわち町丁場(まちちょうば)と呼ばれていたそうです。この町丁場が、やがて町場と略されていきます。そのため町場と言えば市街地の意味もありますし、家を建てている現場の意味にもなったようです。そして腕が良い大工などは、殿様や大商人のお抱えになっていました。

現在では町場の業者と言うと、主に住宅の建設など小規模の工事を行う業者を指します。個人から仕事を受けたり、法人からの仕事も比較的小規模なものが中心になります。そのため専業というより、幅広くさまざまなことができる人が多いのも特徴です。個人で住宅の建設を依頼された際など、左官工事や塗装工事まで行う大工も珍しくありません。

野丁場(のちょうば)とはなにか

町場の対義語的に使われています。江戸時代にも大規模な公共事業がありました。例えばお城の建設や増改築、干拓事業などです。こういった工事には大人数が必要で、とにかく大勢の職人を集めて現場に届けていました。このように藩などが大勢の人を集めて工事を行う現場を、野丁場と呼んでいました。

一説には、この野丁場という言葉は野丁場で働く人達が使っていた言葉ではなく、町場の職人達が蔑称として使っていたようです。町場の職人はその腕を認められて仕事を請けていたのに対し、野丁場ではとにかく人数を集めることが優先されたからです。腕のない職人の集団の蔑称として、野丁場が使われていたと言います。しかし現在では、野丁場の業者が劣るといような意味は全くありません。

現在ではゼネコンから工事を請けて仕事をする業者を、野丁場の業者と呼んでいます。町場の業者が個人から仕事を請けることが多いのに対し、野丁場の業者はゼネコンからの仕事がメインになります。

「場」を使う言葉が多い

先に挙げたように、野丁場・町場・丁場・町丁場など「場」がつく言葉ば多くあります。丁場は工事をする現場だと書きましたが、距離を意味する言葉にもなります。長丁場という言葉は、丁場には宿駅(街道沿いの集落で、旅人を泊める宿場)と宿駅までの距離を意味します。そこから長丁場は、物事が長々と続くことを意味するようになりました。

飯場(はんば)は、建設現場にある職人が食事をしたり寝泊まりする場所を意味します。本来は土木工事など人里離れた場所で工事をする際に、職人が寝泊まりする場所として作られた施設を指していたのですが、今では単に建設現場の休憩所も飯場と呼ぶこともあります。

また最近はあまり聞きませんが、出会い丁場という言葉もあります。丁場で誰かが出会うというわけではなく、複数のゼネコンが合同で工事を行うJV(ジョイントベンチャー)の現場のことです。このように建設関係には「場」とつく名称が多く用いられています。

野丁場の業者と町場の業者の違い

①言葉遣いが荒っぽいのは

マンション建設現場にいるのは、野丁場の業者です。彼らはゼネコンから工事を請けるので、エンドユーザーに会う事はありません。よく建設業者は話し方が荒っぽくて怖いという話を聞きますが、これは野丁場の業者の場合が多いと思われます。普段はゼネコンの現場監督と打ち合わせを行うので、荒っぽい言葉遣いでも全く問題ないからです。

そしてリフォームなどでやって来る業者の多くは、町場の業者です。彼らはエンドユーザーと顔を合わせて打ち合わせを行い、見積書を提出します。そのため彼らは荒っぽい言葉使いでは仕事にならないので、可能な限り丁寧な言葉を使おうとします。それでも荒っぽいと言われる人も多いので業者によっては頭を痛めていますが、努力はしていると思います。

②スペシャリストかゼネラリストか

野丁場ではゼネコンの厳密な管理の元、完全分業制で工事が行われます。下地のボードを張るボード屋はボードしか貼りませんし、クロス屋はクロスしか張りません。ボード屋の工事が終わると、すぐにクロス屋が来てクロスを張り始めます。このように多くの場合、野丁場の業者はスペシャリストであることが多いのです。

しかし町場では少し事情が違います。例えばリフォームをする業者は、同じ人がボードを張り、クロスを張り、巾木を取り付けたりします。野丁場に比べて請負額が小さいので、あまり多くの職種を入れるわけにはいかず、一人で多くのことができる人が重宝されがちです。そのため町場の業者にはゼネラリストが多くいます。もちろん全ての町場の職人がゼネラリストというわけではありませんが、野丁場の業者に比べて多くいるわけです。

③品質への意識が高いのは

野丁場と町場では、出来上がりの最終チェックをする人が違います。町場は個人から仕事を請けることが多いので、最終チェックをするのも個人の場合が多いです。リフォームなら、お家の方が最終チェックを行います。一方、野丁場ではゼネコンの現場監督が行います。また先程の例ですと、ボード屋の後にクロス屋が仕事をするので、ボードの張り方が悪いとクロス屋から「こんなボードには張れない」と苦情が来ます。野丁場では建築のプロがチェックするのに対し、町場では建築の素人がチェックすることになるのです。

そのため野丁場の方が厳しいチェックを受けることになるので、品質への意識が高いと言われています。しかしこれにはかなり業者や個人の差が、大きいと言わざるをえません。私はゼネコン時代に多くの野丁場の業者と接して来ましたが、施工精度はピンキリでした。悪い人は悪いですし、良い人は良いのです。一方、町場の業者と仕事をした時も同様で、個人差が大きくありました。そのため一概にどちらの方が品質が良いとは言い切れないと思います。

④工事費が安いのは

どちらかというと、野丁場の業者の方が高い傾向にあると思います。町場の業者は個人事業主も多いのですが、野丁場の業者の多くは会社になっています。そのため経費の額が違ってきます。町場の業者でも会社になっているところが多くありますが、野丁場の業者よりも規模が小さい場合が多く、そのため経費が安くなります。

またゼネコンの指導の元で行う野丁場の業者は安全対策を徹底するので、安全対策に関連する費用が高くなることがあります。例えば野丁場の業者には、脚立作業を禁止している会社もあります。安全対策でゼネコンが禁止しているので、業者が脚立を持っていないという場合もあるのです。その場合は脚立で済む作業にも足場を作るので、費用が高額になってしまうのです。これはわざと工事費を釣り上げているわけではなく、安全管理の意識の違いによるものです。

どちらが優れているのか

野丁場の業者と町場の業者を比べて、どちらが良いとか言う人もいますが、工事内容や工事規模によって変わってきます。どちらが優れているというのはナンセンスで、その工事に適した業者を依頼すれば良いのです。上記に挙げたように、それぞれに特徴があります。どちらが良いという事はありませんし、どちらにもダメな業者も優れた業者がいるのです。

まとめ

町場の業者は主に個人から仕事を請ける業者で、小規模の会社や個人事業主が多いです。一方、野丁場の業者はゼネコンから仕事を請け、従業員が数十人の会社も珍しくありません。町場の業者は一人でさまざまな工事ができる人がいますが、野丁場では専業の人が多くいます。他にもさまざまな違いがあり、それぞれに向いた仕事があります。どちらにも優れた業者、下手な業者がいます。業者を選ぶ際に金額だけで判断するのではなく、業者の特性を見ることも重要だと思います。

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