あいさつと笑顔でマンションの資産価値は変わる

挨拶と笑顔でマンションの資産価値が変わると言ったら笑われるかもしれません。しかしマンションの資産価値は、立地や間取りや仕様だけではないのです。現在は新築より中古マンションが好調ですが、中古マンションの仲介を考えていくと、これまで見過ごされてきたマンションの価値が見えてきます。挨拶と笑顔はマンションの価値を変える力があるのです。

マンションの資産価値とは

マンションの資産価値の話をすると、いくら儲かるかという話を始める人がいます。しかしマンションで儲かるというのは、かなりの幸運に恵まれないといけません。マンションの資産価値は立地で決まると言われます。では東京の表参道に面する好立地のコープオリンピアを考えてみましょう。1965年に竣工したビンテージマンションで、55年経った現在も高い人気を誇っています。

※表参道のコープオリンピア

ここの2Kの部屋は賃貸で40万円/月以上の家賃がつきますし、中層階の部屋が8000万円以上で売られていたこともあります。最上階なら1億円は軽く超えるでしょう。さすが東京の1等地にあるマンションだと言えます。このマンションは1965年の販売時に、最も高い部屋が1億円を突破した億ションとして話題になりました。1億円で購入して半世紀以上経っても1億円というのは、好立地で適切な維持管理ができているマンションの資産性の高さを物語っています。

しかし見方を変えるとこうも言えます。1965年の大卒初任給は2,2253円です。そして現在2020年の21万200円です。この初任給だけで考えると、55年間にインフレでお金の価値は9.5分の1になったのです。コープオリンピアで発売当時1億円だった部屋が現在9.5億円で売却できるはずもなく、投資として考えると株などに比べてマンションは随分と割が悪いとも言えます。コープオリンピアは都内屈指の好立地にあるマンションですから、それ以外のマンションがどうかは言うまでもありません。

負債に変えないことが重要

現在の日本は急激な人口減に直面していて、それに伴って将来的に空き家が大量に出ると言われています。人口は毎年72万人が減少しており、これは神奈川県相模原市や東京練馬区の人口に匹敵します。毎年、練馬区が消滅するペースで人口減が進んでいるのです。

今年、野村総研が発表した資料によると、2038年には空き家率が30.5%にまで上がる可能性を示しました。急速に家が余る時代が訪れており、多くの住宅の価値が下がると予想されます。

野村総研 2040年の住宅市場と課題

今やマンションは値上がりすることを期待するのではなく、値下がりを食い止めることが重要になってきています。高齢になって自立した生活が困難になり、マンションを売って施設に入ろうとしたら、売却してもわずかな金額にしかならない可能性が十分にあるのです。いや、わずかな金額でも売れたらまだ良い方で、最悪の場合は資産価値がマイナスになってしまう可能性もあります。

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現実味を帯びてきた廃墟マンション

修繕積立金などが不足し、マンションの管理が不可能となる限界マンションという言葉が、ここ数年で注目を集めています。そして実際に限界になったマンションが出てくるようになりました。

2009年9月3日、沖縄県浦添市の3階立てマンションで、外廊下が崩落する事故が発生しました。このマンションは1974年の竣工ですから、築35年しか経っていません。外廊下崩落の直接の原因は施工不良ですが、廊下が傾き出しても何ら対策を打つことなく崩落を迎えました。修繕積立金が不足しており、修繕工事を行いたくてもできなかったようです。

※外廊下が崩落したマンション

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また2020年には崩壊寸前の滋賀県のマンションが、行政によって解体されました。このマンションは雨漏りが酷く修繕費もなかったため、2010年頃には誰も住まなくなっていたようです。現在の所有者のほとんど住んだことがなく、親から相続して所有者になっていました。市は解体費用を所有者に請求する予定すが、1人あたり1300万円にもなるため全額回収の目処は立っていません。

※解体された滋賀の廃墟マンション

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この件はマンションが資産どころか、子供の負債になるという例を示しました。修繕積立金の不足は多くのマンションが内在している問題で、どのマンションも長期修繕計画を見直す必要があると思います。その件は別に書いているので、そちらをご覧ください。

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あなたのマンションの資産価値を考える

マンションの資産価値とは何でしょうか?難しい話を省くと、あなたのマンションを欲しいと思っている人が何人いるかで決まります。もしあなたのマンションを100人が欲しいと考えていれば、資産性が高いと言えるでしょう。中古で売り出してもすぐに売れるマンションです。もしあなたのマンションを1人が欲しいと思っているなら、資産性があるマンションと言えるでしょう。しかし誰も欲しくないと思っていたらどうでしょうか。このマンションには資産価値が全くないことになります。マンションの資産価値は、何人がそのマンションを欲しいと思うかで決まるのです。

では、あなたのマンションを欲しいと思う人は誰でしょうか?これは中古マンションの仲介販売を見ていけばわかります。あなたがマンションを売りに出したら、チラシを作成します。そしてそのチラシをあなたが住んでいるマンションに投函します。実は中古マンションの買い手は、同じマンションに住んでいる人が多いのです。ひとり暮らしの親を自分たちの近くに呼び寄せたいという人、逆に結婚した子供に住んで欲しいと考えて購入を勧める人などが多いため、同じマンションにチラシを入れるのが最も効果的なのです。数百戸の大規模マンションなら、これで買い手が決まることがほとんどです。

もし同じマンションから買い手が見つからなければ、次にマンションの近隣にチラシを撒きます。同じ理由で近所で住宅を探している人が多いので、近隣から買い手が決まる確率が高いのです。もちろん遠く離れたところに住んでいる人が買うこともあります。しかし過疎化しているエリアでもなければ、近隣から買い手が見つかる確率が最も高いのです。

見られているあなたのマンション

同じマンションの住民、そして近隣の住民の中には住宅を探している人がいる確率が高く、その人達が欲しいと思うマンションが資産価値が高いマンションだと言えるのです。しかし売り出しは何度も出るけど、同じマンションや近隣からは全く買い手がつかないマンションというのもあります。つまり同じマンションの住民や、近隣の人が欲しいとは思わないマンションです。こういうマンションは、販売価格を下げていかないと売却が難しくなります。

同じマンションの住民、近隣の住民はあなたのマンションを毎日見ています。そして「こんなマンションに住みたかった」と思っているでしょうか。または「こんなマンションには絶対に住みたくない」と思っているでしょうか。自分が住んでいるマンションの一室が売りに出された時に、あなたは親や子供に進めることができるでしょうか。もし勧められないなら、あなたのマンションの資産性はかなり低いと言えるでしょう。

欲しいと思われるマンションとは

マンション内でトラブルが頻発していれば、自分と同じマンションを大事な人に勧めたいとは思わないはずです。住民に怪しい人が多い、暴力的な住民、非常識な住民が住んでいても同様です。また管理費や修繕積立金を滞納している人がいる、決まり事を守らない人がいるとなれば、やはり大事な人には進めにくいでしょう。

住民がどう思おうが、マンションは1つのコミュニティとして周囲の目に映ります。そのコミュニティの印象を支えているのが住民一人ひとりで、住民の印象がマンションの印象につながります。近隣住民の人が見て、悪印象な人が多いマンションは欲しいとは思いません。無愛想な人ばかりが出てくるマンション、陰気な人ばかりが住んでいるマンション、怖い雰囲気の人が住んでいるマンションを家族に勧める人もいないはずです。

欲しいと思われるマンションは管理費や修繕積立金の滞納などがないのは当然として、あのコミュニティに加わりたいと思えるような魅力的な人達が住んでいるマンションです。

挨拶と笑顔で印象を変えよう

毎日周囲から見られている自分のマンションの印象を変えていきましょう。住んでいる人が気持ちよく挨拶をする人ばかりで、いつ見ても楽しそうに過ごしている人達が住んでいるマンションは、どんな印象を与えるでしょうか。聞こえてくる噂は楽しげなものばかりで、笑い声がいつも聞こえるマンションなら、多くの人がそのコミュニティに加わりたいと思うでしょう。

そういうマンションにしていくには管理組合の活動も大事ですが、まずは住人の一人一人が笑顔で過ごすことが重要です。廊下ですれ違ったとき、エレベーターに乗った際、通勤する際、スーパーに買い物に行くとき、同じマンションの人だけでなく近所の人にも笑顔で挨拶する人が多いマンションは、周囲からの印象も変わっていきます。最近は隣の住民の顔も知らないという方が増えていますが、防犯の観点からも隣の人とよく会話するマンションを泥棒は嫌います。これは戸建てでもそうですが、周辺の人達の仲がよく井戸端会議というなの情報交換がなされている場所には、泥棒は入りにくいのです。

またマンションでは、住民同士が普段から仲良くしていると、騒音問題のトラブルも減ります。うるさいという意思表示で壁や天井を叩く人がいますが、顔見知りなら静かにしてほしいと言いやすくなるからです。笑顔で挨拶を行うことは、マンションの資産価値だけでなくマンション内のトラブルを減らしてくれるのです。

まとめ

他人と関わるのが嫌だから、マンションを買ったという人も多くいます。しかし同じ建物に住んでいながら、口も聞いたことがない人が何人もいるというのは、よく考えたら不自然なことです。不動産の価値が上昇し続けていた時代と違い、空き家率が増えるこれからの時代はこれまでの考え方が通用しなくなってきています。今日からマンション内の人、そして近隣の方に笑顔で挨拶をしましょう。多くの住人が行っていけば、あなたのマンションの印象は変わるはずです。

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