バブル期のマンションは高品質? /狂気の時代のマンション建設

バブル景気の頃のマンションは、高品質だという意見をネットでちらほら見かけます。何をもって高品質と言うかで意見が分かれますが、少なくとも施工品質に関しては高品質とは言えません。むしろ低品質のマンションが多分に含まれています。今回は、なぜこのように真逆の意見がまことしやかに言われているのか、少し考えてみたいと思います。

見た目の良さは圧倒的

なぜバブル景気の頃に建設されたマンションが、高品質だとお思われるのでしょうか。それはバブル期のマンションの見た目の良さからでしょう。今では考えられないような、高価格の材料が使われていました。洗面カウンターやキッチンカウンターが、天然の大理石ということもあります。大理石は水染みができやすく、欠けやすく、補修もできないので現在では嫌われがちですが、見た目のインパクトは絶大です。

また作り付けの家具が総マホガニーだったり、床がウールの分厚いカーペットだったりと、高級な材料がふんだんに使われているマンションなどがあります。エントランスも豪華で、ヨーロッパのお城の中にいるような錯覚を覚えるマンションもあります。こういった高級材を使った仕上げは、今ではほとんどみられません。バブル景気の頃ならではの仕上げで、こういう見た目の良さに惑わされる人もいるのでしょう。

バブル期のマンションは立地が良いものが多い

不動産は過去に建物が立った場所に、新たに建物を建てることはできません。そのため古いマンションほど、良い土地に建っています。現在の新築マンションより、バブル期のマンションの方が良い立地に建っていることが多いのは当然で、そのためマンションの価値が高いと言われています。もちろんバブル景気の頃は、マンションが大量供給されたので良い立地のものばかりではありません。ですが、良い立地に建ってるマンションはバブル景気の頃やそれ以前のものが多くあるのです。

※バブル期の代表「広尾ガーデンヒルズ」

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とにかく人手不足だったバブル景気

バブル景気の頃は、建設業界で人手不足が深刻化していました。現場で働く職人が、月に2日の休暇をとれば休みすぎと言われる状態で、ほぼ毎日のように働く人がほとんどでした。それだけでなく、朝8時から17時まで現場で働き、その後に応援で別の現場に行く人も珍しくなかったのです。そのためゼネコン内でも職人の奪い合いが行われていました。ゼネコンの所長同士の力関係で、職人があっちに行ったりこっちに行ったりしていたのです。そして当然ながら、この頃の職人は高級取りでした。

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このように人手不足が深刻化する建設現場では、常に人手を探していました。クロス屋の人手が足りないので親方になんとかあと2人連れてきてと現場監督がお願いすると、次の日に奥さんと高校生の息子を連れてきた、なんて話は笑い話でもなんでもなく、あちこちで起こっていました。職人は捕まらないし、家族であっても現場に連れて行けば1日あたり1人5万円ぐらいは貰えたのですから、工事の経験がなくても現場に連れて行っていたのです。

このような状態で高品質な工事ができるはずもなく、現在ではあり得ないような施行ミスが見つかることがあります。とにかく建てれば売れる時代なので、工期も短く職人も人手不足です。見た目の豪華さに反して、品質が怪しいマンションが多くあります。そのため私は「バブル期のマンションは高品質」という言葉を聞くたびに、首を傾げてしまうのです。

まとめ

バブル景気の頃のマンション全てがダメというわけではありません。また全てが高品質というわけでもありません。しかしこの頃のマンションは、現在の新築マンションに比べて好立地に建っているものが多いので、資産性を考えると有利なマンションがあるのも事実です。また内装の豪華さはこの時代ならではで、現在では考えられないような高価な材料がふんだんに使われているマンションが多くあります。その一方で、建設ラッシュに伴う深刻な人手不足が起こっていたため、施行品質が怪しい物件が多く含まれています。中古マンションを購入する際には、このようなことを踏まえて検討する必要があると思います。

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