本の紹介:「住んでみなければ絶対にわからない タワーマンションほんとの話」

のらえもんを名乗るブロガーの本で、2017年に出版されました。2011年の東日本大震災により、自分が住む湾岸エリアのタワーマンションが風評被害を受けたことからブログを開設し、本を出版するまでになったそうです。この方がどのような方かは存じませんが、もし不動産業界の人でなければかなり調べて書いていると思います。タワーマンションに関する基本的な部分を広範囲に網羅しています。

本の内容

目次は以下のようになっています。

第1章 タワーマンションの基礎知識
第2章 タワーマンションの日常
第3章 タワーマンションと災害
第4章 タワーマンションの資産価値
第5章 タワーマンションの購入

興味深い部分

タワーマンションに人気が集まるようになったにも関わらず、タワーマンションに関する本はそれほど多くありませんでした。そんな中でタワーマンションに特化した本というのは珍しく、タワーマンションの購入を検討している人にとってガイドブック的な位置付けになると思います。やや個人の主観が入っていると思われる記事もありますが、概ね客観的に書かれています。

また本書はタワーマンションについて浅く広く扱っていて、誰でも読むことができます。また書かれている内容の多くは営業マンの営業トークに出てくる内容が多く、著者が足繁くモデルルームなどを通って得た知識が記載されているように見えます。そのためタワーマンションの購入を検討している人が「営業マンはこう言っているけど、本当はどうなんだろう?」という疑問を解決したいと思って本書を開くと、期待外れに終わるでしょう。この本はタワーマンションを販売する営業マンこそ読むべき本で、営業トークのネタ本として優れていると思います。

気になる部分

①セキュリティ

「タワーマンションのセキュリティは大丈夫?」という章には以下のように書かれています。

不審者が侵入してくる確率は、一般的なマンションよりグッと低くなっています。そもそも、押し売りや泥棒は初めからセキュリティが厳重なタワーマンションを狙ってこないので、そのような被害に遭う可能性は低いでしょう。

このように、玄関の前まで誰でも侵入できる賃貸アパートや一戸建てに比べれば、タワーマンションは格段にセキュリティが強固だと言えます。

書いてある内容には私も同意見で、多くのタワーマンションはセキュリティを高めているので泥棒などが狙う確率は低いと言えるでしょう。泥棒が真っ先に狙うのは、入りやすい住宅だからです。しかしセキュリティが高いから安心と思わせる書き方には疑問があります。その家にお金があるとわかれば、泥棒はどんな手段を使っても侵入してきます。また泥棒の侵入方法の第1位は無施錠の玄関からの侵入という警察のデータもあるので、マンションのセキュリティを過信するのは危険だと思います。

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②資産価値

「タワーマンションの資産価値は落ちないってホント?」という章には、駅近であることは大規模物件のスケールメリットなどが書かれています。そして「誰もが憧れるランドマーク物件なら価格が落ちません」と断言しているのですが、これは疑問です。マンションの価格下落は思わぬ要因が影響することが多々あるからです。

武蔵小杉のタワーマンションが、冠水により大きなダメージを受けたのは記憶に新しいところです。武蔵小杉は人気エリアでタワーマンションは高値で取引されていました。しかし冠水があってからは買い控えも目立つようになり、中古の販売価格に確実に影響を与えています。また施工不良が発覚する可能性は、どのマンションにも存在します。

※武蔵小杉の冠水

タワーマンションではありませんが、横浜のパークシティLaLa横浜は人気の高い物件で販売は好調だったと思います。しかし杭が支持層に達していないと発覚してから、連日ニュースで大きく取り上げられました。パークシティLaLa横浜は売主が三井不動産レジデンシャルという大手だったので、売主負担で建て替えという大きな決断がありました。しかし三井ほどの大手でなければ交渉は長期化し、挙句に倒産して住民への救済策がなくなる可能性もあります。どんなマンションであっても将来的に価格が落ちないと断言できるものは存在せず、あくまでも価格が落ちにくいと考えられる物件があるだけです。

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③騒音

「外の音がうるさくないか心配です」と「タワーマンションは上の階の音が響きませんか?」という章には、タワーマンションの騒音問題について触れています。私が気になったのは、その内容ではなく記載されていない部分です。タワーマンションでは、意外に騒音問題が多く聞かれます。特に上層階に行くほど騒音のクレームが多くありました。

タワーマンションの上層階では外部の騒音源から距離があることもあり、暗騒音と呼ばれる音がかなり低めになっています。そのため普通のマンションに比べて隣室や上階の音が聞こえやすくなっているようです。のらえもん氏は住んでいて騒音問題を経験していないのでしょうから、書いていないからダメだと言いたいわけではありません。

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まとめ

不動産の営業マンはトークのネタ本として使えるので、ぜひ読んでおくべきでしょう。特に話すネタに困っている経験が浅い営業マンは、読んで損はないと思います。またタワーマンションの購入を検討している人にも、浅く広くタワーマンションについて扱っているので役に立つと思います。ただし営業マンのトークに疑問を持ち、その答えを本書に求めてもほとんど期待通りにはいかないと思います。

タイトルに「住んでみなければわからない」とついていますが、営業トークをまとめた部分が多いのか住んだことのない私でも知っていることばかりが書かれていました。しかしこれほど広範囲にタワーマンションのことだけを網羅した本も珍しく、空前のタワーマンション人気とその反動が来ている現在の状況を考えるのにも、この本は役に立ちそうです。

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