相談事例 管理会社が騒音問題に対処してくれない

マンション内の騒音に困っている人から相談を受けました。上の階からの騒音に苦しんでいるのですが、管理人に話しても管理会社に電話をしても相談に乗ってくれないと悩んでいます。毎月高い管理費を払っているのに、なぜ管理会社が騒音問題に対処してくれない対処しないのかと憤っており、どうしたら良いのかと言います。多くの方が勘違いしているのですが、管理会社は騒音問題を処理することはありませんし、その義務もないのです。

相談内容

新築マンションに住んで8年目のMさん夫婦は、これまで特に何ら問題なく過ごしてきました。しかし昨年の夏頃に上階の人が賃貸に出し、別の家族が住むようになりました。最初は特に気にすることもなかったのですが、コロナ禍で自粛生活が始まると、上階の子供達が時間に関係なく走り回るようになりました。

連日の騒音に耐えかねて管理人に相談すると「管理会社から、そのような相談は受けないように言われている」と拒否されてしまいました。そこで管理会社に電話すると「管理会社として住人同士のトラブルには関らない」と言われ、管理組合に相談するように言われたそうです。仕方なく管理組合の理事長に相談するものの、なかなか動いてくれず困っているそうです。

管理会社の役目

そもそもマンションにおける管理会社の役割とはなんでしょうか。それはマンションごとに結ばれている管理委託契約を読んでみないとわかりません。管理会社は管理組合から委託を受けているだけなので、その契約内容が問題になります。個々に見ないと分からないと言っても、ほとんどの管理会社は国土交通省が出している「マンション標準管理委託契約書」をそのまま使っているので、これを見てみましょう。

以下は「マンション標準管理委託契約書」第二条 五 管理対象部分の記載です。

第二条
五 管理対象部分

イ 敷 地
ロ 専有部分に属さない建物の部分(規約共用部分を除く。) 玄関ホール、廊下、階段、屋外階段、屋上、エレベーターホール、共用トイレ、 湯沸室、エレベーター室、ポンプ室、電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、 パイプスペース、内外壁、界壁、床スラブ、柱、基礎部分、塔屋、バルコニー、 ベランダ
ハ 専有部分に属さない建物の附属物 エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、テレビ共聴視設備、消防・防 災設備、各種の配線配管
ニ 規約共用部分 管理員室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫
ホ 附属施設 塀、フェンス、掲示板、駐車場、自転車置場、花壇、庭木、散水栓、外灯設備、 水道引込管、排水施設、ゴミ集積所、消火栓、専用庭

このように管理対象に専有部分は入っていません。「マンション標準管理委託契約書」に含まれていないので、わざわざ専有部を含めて契約している管理会社は皆無だと思われます。すなわち専有部内で起こす騒音問題を管理会社が取り扱うことはないのです。「いやいや、ウチのマンションでは管理会社が間に入って対応してくれてるよ」という方もいるかもしれませんが、それは管理会社のサービスです。問題が大きくなったり手間がかかりすぎるようになれば、いつでも「これ以上のことはできません」と断ることができるのです。

騒音問題を管理人に相談する人も多いのですが、標準管理委託契約書には管理人の業務も「別表第2 管理員業務」に記載されています。

2 業務の区分及び業務内容 
(1) 受付等の業務 
(2) 点検業務 
(3) 立会業務 
(4) 報告連絡業務

このように管理人が住民間のトラブルに対して何かを行うことはないのです。そのため管理会社によっては、絶対に相談を受けないように指示されている場合もあるのです。

管理組合の役目

管理組合の役目は、同じく国土交通省が出している「マンション標準管理規約」がほとんどのマンションでそのまま使われているので、これを読めば大体のことがわかります。第1条にはこのような記載があります。

第1条 この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。

また管理組合の業務を定めた第32条には、以下の記載があります。

八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務

この内容から騒音問題は管理組合で解決しなくてはならないと言い切るのは、かなり微妙です。というのも個人間、または住戸間で起こる問題は個人で解決するべき問題で、管理組合が解決するものではないという意見もあるからです。個人間で起こる問題全てに管理組合が加担すると、それだけで業務がいっぱいになりかねないという危惧もあります。1つの住戸から発せられる騒音で、何世帯もが被害を訴えているなら「居住環境の維持」に該当するという意見もありますが、騒音のように個人差が大きい問題は管理組合として取り扱うのは不適当という意見も説得力を持っています。

このようなことから管理組合が解決に動いてくれない場合もあり、それは決して理事会の怠慢や不当な扱いを受けているわけではないのです。

騒音問題に対処するのは誰?

では誰が騒音問題に対処するのでしょうか。騒音問題は原則として、当事者同士で解決するべき問題なのです。誰かが解決する問題ではなく、自分で解決する問題なのです。しかし1対1で話し合うと、感情のもつれから問題が大きくなることもあり、理事会としてできることはやるべきだと私は考えています。住民間のトラブルを最低限に抑えることは、マンション全体の利益にもつながります。では具体的にどうすれば良いかは、以前に書いたことがあるのでそちらをご覧ください。

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当事者同士で解決するのが原則でも、理事会の協力を得た方が揉め事になりにくいので、理事会に協力をお願いしましょう。

まとめ

騒音問題は原則として当事者間で解決するものになります。そのため管理会社が協力してくれない場合もありますが、契約に含まれていないなら仕方ないことです。また管理組合として解決しなくてはならない問題とも言い切れません。1つの部屋が出す騒音で、何世帯もが苦情を訴えているならば「居住環境の維持」に該当すると思われますが、1世帯だけが苦情を出しているような問題では理事会が動かなければならないとは言えません。

しかし騒音問題が発展して訴訟になったり、暴力事件に発展する例も散見されます。マンション自体の評判を落とし資産性にも影響する場合があるので、可能な範囲で理事会も協力することが望ましいと思います。

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