その共用施設は必要ですか? /マンションの共用施設を考える

マンションは高級感を出すために、さまざまな共用施設が設置されています。ホテルライクな生活をうたい、豪華な設備を設置するのですが、これらは資産価値をあげるどころか下げてしまうものもあります。その共用施設が暮らしに必要かどうかは、注意深く見ておく必要があります。

豪華になっていった共用施設

マンションを販売する デベロッパー は、他社との差別化を図るために共用施設を充実させていきました。1990年代頃からその傾向が強くなり、他のマンションにはない共用施設を宣伝するマンションが一気に増えていきます。その目的は住民の快適な生活ではなく販売時にいかに目立つかということで、入居後の生活を考慮しない施設が多くあります。そのため見た目の豪華さに惑わされてしまわないようにしなくてはいけません。

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キッズルーム

竣工から数年は子供達で賑わいますが、数年で誰も使わなくなりがちです。なぜなら子供が成長して、キッズルームで遊ばない年齢になるからです。そのため築10年にもなるマンションだと、倉庫になっているケースもあります。しかし倉庫として使えるならまだ良い方で、倉庫にすらならないキッズルームもあります。

私がお邪魔したマンションで酷かったキッズルームは、子供たちが滑り降りて遊べるように床に大きな勾配があり、さらに平らな部分にはブランコやジャングルジムなどの遊具が設置されていました。遊具は本格的なもので、解体するにはガスで切断する必要があるので室内での作業は困難です。セイバーソーなどで少しずつ切断していくと、かなり高額な撤去費用がかかります。床は勾配があるため、棚を設置するにも不便ですし、使わななくなったこのキッズルームは悩みの種だと理事長がおっしゃっていました。

水景

噴水や滝などをマンションのエントランスや中庭に作ったものです。住人全員が好きならいいのですが、維持費がバカにならないので水を止める管理組合が結構な割合でいます。

販売時の広告のパースを描く時には見せ場になりますし、見た目が豪華なので販売時には喜ばれることが多いのですが、住んでみて維持費を知るとバカバカしいと感じる人が多くいます。維持費が高いので、水の濾過装置のメンテナンスをしなくなる管理組合もありますが、これは良くないと思います。

水を循環させる仕組みになっていることがほとんどで、濾過装置のメンテナンスをしないと腐った水が流れることになります。噴水装置やポンプの故障の原因になりますし、小さな子供が入って水を飲んでしまうとお腹を壊してしまいます。安全面も含めて、使わないなら潔く水を止めてしまった方が良いと思います。ただし、水を止めると廃墟みたいなみすぼらしい雰囲気になることもあります。

温泉(大浴場やプールも含む)

かつて1階の専用庭に露天風呂を作って販売した デベロッパー がいました。購入した人と話をする機会があったのですが、満水になるまで6時間もかかり、絶えず追い焚きしながらお湯を溜めないと冷めてしまうため、月の光熱費が10万円を遥かに超えてしまうので使わなくなったと言っていました。

マンションの住人全員が使えるお風呂やプールも同様で、維持費がバカになりません。しかも使う人が偏るため、そのうち高い維持費に不満が出てくるケースが多くあります。

フィットネスジム

利用者が偏るという問題は新築時からありますが、機器の故障や陳腐化をどのように対処するかという問題が大きいと思います。バーベルセットぐらいならメンテもさほどかかりませんが、旧式のランニングマシンが壊れたまま放置してあるフィットネスジムを、何件も見てきました。

機器が故障すると一般管理費で補うケースが多いようですが、あまり頻繁に出費が続くと利用していない住人から不満の声が出るようになります。また機器が陳腐化した際に、どの費用から捻出するかが問題になります。フィットネスジムがあるマンションでも、機器の費用まで含めて長期修繕計画を作っているケースは稀で、費用がないから放置してしまうことになりがちです。

住人の総意でフィットネスジムを続けて持ちたいなら、長期修繕計画にフィットネスジムの機器交換費用も含めて計画することをお勧めします。

住人の総意があればなんでも可

共用施設は住人全員のものなので、一概に何が必要とか不要とかは言えません。上記のプールにしても、住人の全員がプールを楽しんでいるなら問題になることはありませんし、敷地内にパットゴルフのコースを作ったって、全員が楽しんでいるならそのマンションの特色にもなります。

しかしマンションは住んでいく中で住人が成長していきますし、売買によって住人も変わっていくので、最初から突飛なものが付いていると後々で問題になることがあります。特に維持費が高いものは、閉鎖するというのも時には重要です。使わなくなった施設をどのように活用するかは、管理会社に相談するのが一般的だと思いますが、コンペを実施するという方法もあります。物件の状態や予算にもよりますが、思わぬ活用ができるケースもあるのでご相談ください。

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